ジョブズがiPhoneのような離れ業に込めた意図 共鳴してくれる友達のために「作品」を届けた

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「人は脳をオフにするために遊ぶ。そして、脳をオンにしたいときに、パソコンを使う」スティーブ・ジョブス 1990年9月18日(撮影:小平 尚典)
いまもなお語り継がれる伝説の経営者であるスティーブ・ジョブズの知られざる姿を、若き頃から彼を撮り続けてきた写真家の小平尚典と、あの300万部を超えるベストセラー『世界の中心で、愛をさけぶ』を著した片山恭一がタッグを組んで描く連載。第9回をお届けします(毎週月曜配信予定)。

9 シンク・ディファレント

ジョブズが想定している相手はマス(大衆)ではなく、つねに1人ひとりの個別ユーザーである。彼のビジネスの際立った特徴だが、それを象徴しているのが「シンク・ディファレント」というキャッチ・コピーだろう。1997年にジョブズがアップルに復帰し、会社の新たなブランディングを推し進めるために展開したCMのなかで使われたものだ。コピーを考えたのはかつてマッキントッシュで「1984年」のCMを作ったリー・クロウである。

本当に世界を変えている人たち

アインシュタイン、ガンジー、ジョン・レノン、ボブ・ディラン、ピカソ、エジソン、チャップリン、キング牧師、ヒッチコック、アンセル・アダムズ、マリア・カラス、フランク・ロイド・ライトといった人たちの動画につぎのようなナレーションが重なる。

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「クレイジーな人たちがいる。反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。四角い穴に丸い杭を打ち込むように、物事をまるで違う目で見る人たち。彼らは規則を嫌う。彼らは現実を肯定しない。彼らの心に心を打たれる人がいる。反対する人も、称賛する人も、けなす人もいる。しかし彼らを無視することは誰にもできない。なぜなら彼らは物事を変えたからだ。彼らは人間を前進させた。彼らはクレイジーと言われるが、私たちは天才だと思う。自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから。」

最後に「Think different」という文字が現れ、アップルのロゴがカラーで小さく表示される。

ジョブズはいったい何を表現したかったのだろう? アップルという会社のブランド・イメージだろうか。もちろんそうだ。そのためのCMにアインシュタインやピカソを使うというアイデアは、ちょっとスノッブな企業リーダーなら思いつきそうだ。

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