ジョブズ、君はどうして夢を形にできたのか

「あの日のジョブズは」自分を持て余し続けた彼

NEXTの可能性を語るジョブス、ディア クリーク ロード・パロアルトのオフィスにて1990年9月18日(撮影:小平 尚典)
いまもなお語り継がれる伝説の経営者であるスティーブ・ジョブズの知られざる姿を、若き頃から彼を撮り続けてきた写真家の小平尚典と、あの300万部を超えるベストセラー『世界の中心で、愛をさけぶ』を著した片山恭一がタッグを組んで描く連載。第2回をお届けします(毎週月曜配信予定)。

2 Who Is He ?

いやなやつだったらしい。正真正銘のクソ野郎と言う人もいる。ぼくの友だちにもいる。いまジョブズの話を書いていると言ったら、「なぜあんなやつのことを書くんだ」と不思議そうな顔をされた。「いまじゃあジョブズのことなんて誰も気にかけていない。完全に過去の人間じゃないか」。

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もちろん別の意見もある。「私が付き合ってきたスティーブはそんな人間ではない」と伝記作者の1人は書いている。自分がひたむきに報じてきた男はこういう人物である。おそらくジョブズを知っている多くの人が同じ思いを共有しているのだろう。彼はそんな人間ではない。

では、どんな人間なのか? どんな人間であればお気に召すのか。あるがままの彼を語れる人などいるだろうか。ジョブズにかぎらず、それが誰であれ。喪に服しているわけではないのだ。亡くなった人を追憶しているわけでもない。死者は立ち去り、逃れ去ってゆく、休む間もなく。

たとえどんなクソ野郎であったとしても

だからこう言わなければならない、「きみの便りを待っている」。このメッセージはなんらかのかたちでジョブズに届くだろうか? 1人の人間を理解するためには、彼のことを愛さなければならない。たとえどんなクソ野郎であったとしても。

クソ野郎だから書いてみたいのだ。普通にいい人のことを書いてもつまらない。生前のジョブズを知っている人の多くが「絶対に付き合いたくない」と断言する。上等だ。実在のイエス・キリストだって、クソ野郎だったかもしれないじゃないか。絶対に付き合いたくないと思うくらい、いやなやつだったかもしれない。そのくらいの人間でないと1000年、2000年のときを超えて生き延びることはできないのかもしれない。

ジョブズがイエスのように2000年も生きつづけるかどうかわからない。でもぼくたちの時代で他に誰がいるだろう? ジョン・レノンやポール・マッカートニーは? 彼らの作品は長く残りつづけるだろうが、それはジョンやポールという生身の人間が残ることではない。

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