世界的な日本人指揮者の「コロナ禍での変化」

山田和樹氏「お金がない今、音楽はどうなる」

山田和樹氏はパリ管弦楽団、スイス・ロマンド管弦楽団など、世界でも名だたるオーケストラを指揮するほか、国内では読売日本交響楽団の首席客演者などに就任。写真は、東京混声合唱団のテレビ収録に向けてのリハーサルの様子(筆者撮影)

パンデミックは、いまだ世界中の生活や経済活動に暗い影を投げかけている。しかし今、その影響を単に「被害」と捉えていては、その業界はやがて衰退してしまうだろう。音楽業界でもまた、プレイヤー、作曲家など多くの音楽家が、音楽の灯火(ともしび)を守ろうと、さまざまな新しい挑戦を始めている。そしてオーケストラなどの「指揮者」も、牽引を託された1人だ。

コロナ禍で強いられた「変化」とは

世界で活躍する若手指揮者の中でも、最先端を走るのが山田和樹氏だ。同氏はこのたび、作曲家の藤倉大氏や、自身が音楽監督兼理事長を務める東京混声合唱団などとともに、「Longing from afar」というリモート演奏の試みを打ち出した。同曲はYouTubeで無料配信され、世界中から高い反響を呼んでいる。

山田和樹氏が打ち出したリモートの試み「Longing from afar」。5月2日に配信された合唱によるバージョン1から始まり、今では尺八やオーケストラ、子どもによる演奏など、さまざまなリモート合奏が生まれ続けている(動画:東京混声合唱団The Philharmonic Chorus of Tokyo/YouTube)

まず、山田氏が在住するドイツ・ベルリンや音楽業界の様子はどうだったのだろうか。これまでは世界を飛び回っていた同氏も、やはり大きな変化を強いられたようだ。

「まず仕事がなくなりました。それまでつねに移動する生活だったので、180度の変化です。外出制限中は、ずっと家にいるということを初めて経験しました。ドイツは9時ごろまで明るくて、朝はもう4時ぐらいに陽が昇るんですが、そのサイクルに合わせて、陽が昇ったら起き、沈んだら眠り……。私は普段あまり運動はしませんが、その間は意識して、毎日1回は散歩や買い物に出るようにしていました。家族と一緒に過ごせるいい時間でもありましたね」(山田氏)

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