6月から、制限下ではあるが、ようやくクラシックなどのコンサートが開催され始めた。
しかし2月末から緊急事態宣言の解除・緩和段階においては公演がおよそ4カ月間中止・延期され、プロオーケストラでは収益が激減した。そしていまだ存続の危機下にある。
ほかの業界でも言えることだが、危機は最大のチャンスでもある。今回は、日本の音楽、とくにクラシックという分野において、その担い手たちが未曾有の危機をどう乗り越えていくかについて、その可能性を探った。
華やかさ、豊かさを象徴するオーケストラの今
まず経済的な損害について述べると、3月から5月では、全国で1761の公演が中止、937公演が延期になり、3カ月で68億円の損失となった。
「6月から8月も同様の状況が続けば、倍の数字となる」(日本クラシック音楽事業協会常任理事の丹羽徹氏)
さらに、公演再開にあたっては、聴衆が密集しないよう座席制限も設けなければならない。つまり、チケット収入も大きく減ってしまうのだ。
ここで1つ、あまり知られていない事実を説明しておく。
燕尾(えんび)服、ドレス姿で、主にヨーロッパの貴族文化によって醸成された音楽を奏でるオーケストラは、華やかさ、豊かさを象徴する存在に思われる。それに従事する指揮者、演奏家なども、好きな音楽を仕事にし、自由に生きている人たちというイメージがあるだろう。
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