コロナ禍のホームレスはどう過ごしているのか 経済面の影響小さくなく今後の感染リスク懸念

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アルミの値段は近年、1キログラム=100円程度を中心に前後している。大事業があって需要が増したときは値段が上がる。僕が知っている中で最も高かったのは2008年に北京オリンピックが開催された前後で、1キログラム=170円以上の値段がついていた。実に倍以上だ。73円はかなり安い。

新型コロナ禍による経済活動の停滞で金属の需要が下がり、値段も下がっているのだろう。

アルミの買い取りの値段が下がっている中、特別定額給付金10万円は受け取らないという(筆者撮影)

またホームレスの方々には10万円の特別定額給付金を受け取るかどうかも聞いた。ホームレスの中で、仕事による収入がある人の月収は平均で3.8万円(2016年の国の調査)だ。彼らにとっての10万円は、一般の人の10万円に比べてはるかに高い。アルミ缶を1トン以上集めなければ手に入れられない額なのだ。

「10万円? 知らないよ。そういうのはいらないよ!!」

と先ほどの70代の男性は言った。

「そういうのもらえないよね」

「いやあ、こういう生活していたらそういうのもらえないよね。大体ワケアリだから」

と笑いながら同調する人もいた。

その3人は誰も10万円の給付金は受け取らないと言っていた。

ちなみにこの日は最終的に10人ほどのホームレスに話を聞いたが、全員が給付金は受け取らないと言っていた。給付金の存在すらよく知らないという男性もいた。

ネット上では

「ホームレスが給付金をもらうのはおかしい」

とバッシングしている人がいて、少し話題になっていた。それこそまったく的外れな意見だが、そもそも給付金を受け取る手続きをするホームレスはほとんどいないようだった。

河川敷の線路が走る橋の下で集めてきた空き缶を潰している60代の男性に話を聞いた。

「コロナの影響? 俺は4月にここに来たばかりだからわからないよ」

と語る。まだ2カ月も住んでいないそうだ。

「コロナで働いていた糀谷の居酒屋をクビになっちゃったんだ。クビというかお店が潰れちゃった感じだね」

と言った。糀谷は、多摩川河川敷から程近い場所だ。突然収入が絶たれ、1カ月経たぬうちに手持ちのお金はなくなり、野宿生活を余儀なくされることになったという。

やはり、危惧されていたことは現実に起きていた。

「いやあ、コロナ以降はまったく客が来ないよ。お店も潰れちゃった。無職になってすぐに仕事を探し始めたんだけどね、全然見つからない。まあ、60歳を過ぎてるし、それも当たり前だけどね……。

こんな生活からは早く抜け出さなくては、って思うんだけどね。なかなかうまくいかないね」

とため息をついた。

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