コロナ禍のホームレスはどう過ごしているのか 経済面の影響小さくなく今後の感染リスク懸念

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ただ、生活保護に頼りたくないと思い、野宿生活をしたいと思っている人を、無理やり追い出すのは倫理的にどうなのか、とは思う。また追い打ちというわけではないが、ますます彼らが河川敷に住みづらくなる計画が進んでいる。

台風19号による甚大な被害が発生した多摩川において、国、都、県、市区が連携し「多摩川緊急治水対策プロジェクト」という事業計画が進められているのだ。

治水対策のため「多摩川緊急治水対策プロジェクト」という事業計画が進められている(筆者撮影)

複合的な治水対策がなされるが、下流である東京都大田区周辺では『河道掘削(かどうくっさく)』『樹木伐採』という工事がとられる。

河道掘削は川幅を広げる工事だ。つまりホームレスの小屋があった場所の多くは川に沈む。住むことができる場所は減少するし、より管理が厳しくなる可能性も高い。

河川敷は現在、野宿生活ができる数少ない場所だ。拙著『ホームレス消滅』にも詳しく書いたが、多くの公園や駅舎ではすでに野宿することが基本的に許されていない状況だ。

ますます彼らが河川敷に住みづらくなりそうだ(筆者撮影)

同じ河川敷でも、東京都が管理する隅田川などは管理がかなり厳しい。昔から住んでいる人は特例的に許されているが、新たに小屋を建てると立ち退きを求められる。

ただ、河川における対策は2024年度までかけて行われるためまだ先の話だ。

さて現在、最も危惧されているのは、コロナ禍である。堤防の上に建てた小屋の前で、3人で集まって話をしている人たちに話を聞いた。

「コロナの被害? ないよそんなの俺たちには」

70代の男性は、

「コロナの被害? ないよそんなの俺たちには。そういうのとは関係ないところに生きてるの。福祉(生活保護)にも興味はございません。そうやって心配して話しかけてくれるのはありがたいけど、はっきりいって迷惑。もうこの歳になったら好きなように生きるの!!」

とまくしたてられた。

ホームレスにインタビューをしていて

「福祉は受けたくない! 誰の世話にもなりたくない!」

と言われるのは、よくあることだ。

話を聞いたホームレスは、誰もマスクはつけていなかった。ただ、外であるため感染のリスクはあまり高くないと思えた。野宿生活をしていて食費や嗜好品以外にお金を使う余裕はまずない。

しかし話を聞いていくうちに影響がないわけではないことがわかった。彼らの多くが従事しているのは廃品回収業であり、アルミ製の空き缶を集めて換金している。アルミの買い取りの値段を聞いてみると、

「1キログラム=73円くらいだね。安くて参っちゃうね。確かにコロナの後に下がったけど、それが原因かどうかはわからない。捨てられている空き缶の数の量は、増えても減ってもいないね」

とのことだった。

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