世界で戦える企業・人材になる修行法とは? 森本作也×瀧本哲史 対談(後編)

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 本連載では、『武器としての決断思考』『僕は君たちに武器を配りたい』『君に友だちはいらない』の著者で、エンジェル投資家の瀧本哲史・京都大学客員教授が、各界で新たなロールモデルとなる注目の人物と対談、これからのビジネスパーソンと日本企業の生き方を探ります。
今回は、ソニーで中東地域を担当後、スタンフォード、マッキンゼー、シリコンバレー、DeNA、そして起業というキャリアを経てきた森本作也氏との対談の後編。森本氏が手がけるWorld Agent BRACは2014年7月22~24日に行われた INTERNATIONAL SERIOUS PLAY CONFRENCEにおいて金賞受賞の栄誉に輝いており、今、ゲーム業界でもっとも注目されている人物の1人。ゲームの可能性について熱く語ります。

※ 前編はこちら:ソニー、マッキンゼー、DeNAで学んだこと

ゲームをどう社会貢献に使えるか

瀧本:今、森本さんがやっている仕事は、どんなものですか。

森本:今、やろうとしているのは、ゲームを使って社会的使命を果たすというものです。僕はカネスタとDeNAで、ゲームの力を見てきました。しかしゲーム自身は必ずしも主流のメディアに置かれていない。でも一方で、数兆円のおカネと、すごい技術者と人とが集まってきている。この能力やマーケットの力を使って、世の中にもっとポジティブなインパクトをもたらす事業ができるんじゃないかと期待して会社をつくりました。

要は、貧困、食糧問題、自然災害など社会問題を扱ったゲームを出す。そのゲーム自身に魅力があって、収益を得る仕掛けを持っています。その収益を現地の活動やNGOに提供することで、間接的にその問題を解決するという事業です。

僕もこんなビジネスモデルは見たことがないので、そういう意味ではリスクがあると思います。でもやることに価値があるし、どういう形で成長していくかわからないけれど、実現できるものだと感じています。

瀧本:まさに運営的にはシリアスゲームと言われるゲーム的手法を使っていますね。ゲームで何か学習させるとか、社会的にインパクトのあることをするというのは、わりとはやりかけている分野ではありますが、それを発展途上国とか、マイクロファイナンス的育成などというのは、あまり聞いたことがない。

ゲームのデモ版を見せてもらいましたが、シムシティっぽい感じで面白い。そもそもマイクロファイナンスが生まれたのも、発展途上国への単なる支援ではなく、ちゃんとリスクとリターンに見合うようにしたほうが、結局、うまくいくからですよね。そのヨルダンの人が「平和になればビジネスをして稼げるんだから、援助がほしいわけじゃない」と言っていたように。

森本:そうなのです。今、NGOとか学校が、教育にゲームを使おうという動きがあります。でもかなり教育色が強くて、なかなかビジネスになりにくい。メッセージは伝わるかもしれないけれど、おカネが集められない。だからゲームとしてちゃんと成立するような形で、プロのゲーム開発メーカーにお願いしています。

今、マイクロクレジットというのは、貧困を解決する、「打ち出の小槌」のような言われ方をしていますが、いちばん重要なのは、発展途上国の中で生まれた仕事だということですね。マイクロクレジットはバングラデシュで生まれて、バングラデシュの成長を下支えしている。バングラデシュは過去20年間、6~7%の成長率を維持していて、10年の間にGNPが倍になっている。たとえば僕がパートナーになっているBRAC(ブラック)という世界最大のNGOがありますが、そこはNGOでありながら年間500億円の収入をマイクロクレジットから上げている、超優良企業です。

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