JTのプリンスは、37歳の経営企画部長
JTのエースと語る、日本企業のこれから(上)

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本連載では、ベストセラー『武器としての決断思考』『僕は君たちに武器を配りたい』の著者で、エンジェル投資家の瀧本哲史・京都大学客員教授が、各界で新たなロールモデルとなる注目の若手と対談、これからのビジネスパーソンと日本企業の生き方を探ります。第1回目は、JTで異例のスピード出世を遂げ、37歳にして経営企画部長に抜擢された筒井岳彦氏をゲストに迎えます。

過去15年でJTは大きく変わった

瀧本:たぶん多くの読者は、「なぜ新しい日本企業のモデルがJTなの?」と思うでしょうが、実態としてJTはかなり変わってきています。もともとは衰退産業の元国営企業という印象でしたが、近年は、日本企業では珍しくグローバリゼーションを積極的に進めています。しかもM&Aという、日本企業があまり得意でない手法を使っているのが特徴です。

しかも、古い会社だから人事も硬直的だろうと思いきや、どうもそうではないらしい。その象徴が筒井さんで、37歳にして経営企画部長に抜擢されています。採用市場でもJTのイメージが変わってきていて、私の周りでも、外資金融機関やネットベンチャーの内定を蹴ってJTに就職する例が出てきています。

いったいJTに何が起きているのか――それが知りたくて、今日はJTにやってきました。

今、JTはどんな状況にあるのでしょうか。

筒井:今のJTは、大きな戦略のうねりの渦中にあると思っています。

歴史を振り返ると、1985年の民営化以降の約10年間は、いわゆる多角化の時代です。私がJTに入社したのは97年ですが、この年は、採用のキャッチフレーズに「多角化」を掲げた最後の年でした。いろいろな就職先を考えている中から、多角化で一旗揚げてみるか、というような気持ちをもって入社してきた者もいるのが僕らの世代です。

しかし1997年を最後に「多角化」の時代は終わり、ものすごい勢いで「選択と集中」というフェーズにシフトしていきました。資源をあちこちにバラまくのではなく、「海外たばこ事業を何とかしよう」「食品に集中しよう」「飲料に集中しよう」「医薬に集中しよう」というふうに、特定領域に集中的に投資をしました。

その中で、ある意味、最も成功したのが、海外たばこ事業です。1999年のRJRI(レイノルズインターナショナル)の買収、2007年のGallaher(ギャラハー)の買収により、会社が大きく変わりました。外から見ると、今日のJTと私が入社した1997年のJTは、大きく違うはずです。

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