瀧本:筒井さんの工場勤務の話を聞いて、JTがすごくいい教育をしていると思うのは、入社直後にリーダーの仕事をさせていることです。
これは政府系の組織ではよくある制度で、かつては、大蔵省(現財務省)でも、若いうちに税務署の所長をさせますが、赴任先には超ベテランの人がいて、若手の税務署長を指導します。NHKでも地方局で小さくても番組を作らせてしまう。若手エリートには、末端の仕事をさせるよりも、マネジメントの仕事を早くやらせたほうが、絶対にスキルは上がります。
筒井:そうですよね。工場である作業を改善したいと思っても、新入社員ではなかなか信頼してもらえません。でも、そこで共に働く仲間を説得するために努力し、議論し、最終的に成果が出たときの喜びは大きい。そういう非常に重要な原体験を味合わせてもらったのはありがたいですね。
瀧本:それは、問題を発見し、ソリューションを考え、みなを説得して実行に移し、うまくいくかどうかチェックするというプロセス、いわば、経営そのものです。それを小規模でも最初にやらせるような仕組みは効果的です。
ジュネーブで過ごした、年功序列と無縁の7年間
瀧本:工場勤務の後はどのような仕事を?
筒井:本社のたばこ製造部門に移り、2年間、国内たばこ全体の需給管理をしながら、製造の態勢を考える仕事をしました。その部署での仕事ぶりをある方が見ていてくれて、ギャラハー買収へとつながるプロジェクトが2003年に立ち上がった際に、そのメンバーにいちばんの若手として入れてもらいました。
その2年後の2005年に、ジュネーブのJTインターナショナルに赴任し、海外たばこ事業部門の買収や戦略的交渉を担当するビジネスディベロップメントの部署に配属されました。そこでのいちばん大きい仕事は、ギャラハー買収のエグゼキューションと、統合のマネジメントです。コアメンバーのひとりとして、すごくいい経験をさせてもらいました。
瀧本:ジュネーブに日本人スタッフは何人くらいいましたか。
筒井:当時はたしか40人弱ぐらいだったと思います。今は80人近くいます。
瀧本:ジュネーブに、そこそこの規模のヘッドクオーターがあるイメージですか。
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