「移動可能なプロフェッショナル」を目指せ

小澤尚志×瀧本哲史「博士起業の可能性」

本連載では、『武器としての決断思考』『僕は君たちに武器を配りたい』『君に友だちはいらない』の著者で、エンジェル投資家の瀧本哲史・京都大学客員教授が、各界で新たなロールモデルとなる注目の人物と対談、これからのビジネスパーソンと日本企業の生き方を探ります。今回のゲストは、オムロンベンチャーズの小澤尚志社長。異色のコーポレートベンチャーキャピタリストはどのように生まれたのか、そのキャリアストーリーに迫ります。

 

前編:「博士」がオムロン変革の旗手になったワケ

オムロンが組む会社とは?

瀧本:具体的にオムロンベンチャーズはどのような会社への出資を狙っているのですか。カチッとした技術を狙っているようですが、そうした会社は日本ではあまりないのでは?

小澤:数は多くないと思います。今のベンチャーは、ほとんどがITサービス系ですから。しかしオムロンはメーカーなので、われわれが組むのは、技術がしっかりしているところになります。

瀧本:具体的にはどういう組み方になりますか? センサーを使う、ユーザーよりの機能を持つ会社と組むのか、同じレイヤーのセンサーの会社か。あるいは素材に近いタイプの会社でしょうか?

小澤:同じレイヤーのところ、あるいは少し下流のところです。なぜ同じレイヤーのところで組むのかというと、たとえばオムロンは農業分野に力を入れつつありますが、2つの課題があります。農業分野をするとして、オムロンに農学的な人材がいるのかといえば、いない。もうひとつは、新しいことをするときに、どうも大企業の組織内の仕事の進め方とうまくマッチしない。そのため、外でやったほうがいい。専門性と、スピードという2つの観点で外部と組みたいのです。

そういう人たちと一緒に組んで、われわれとしては、そのためのセンサーを設計して世の中に展開していくことができる。一緒にパートナーとしてやっていけるわけです。

瀧本:確かに、アプリケーション部分は、小回りのきく会社のほうが有利です。シーズ側を持っている会社はそこが弱いので、組むのはいい戦略だと思います。たとえばインテルがコーポレートベンチャリングをする目的は、自分のCPUを速くするアプリケーションをほかの人に探させる、という組み方になるわけです。逆に、3M(スリーエム)は、新製品の半分ぐらい、実は買収によるものです。人をハイアリングするために買収するケースもある。

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