博報堂の異色キャラはこうして生まれた 原田曜平×瀧本哲史 対談(前編)

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 本連載では、『武器としての決断思考』『僕は君たちに武器を配りたい』『君に友だちはいらない』の著者で、エンジェル投資家の瀧本哲史・京都大学客員教授が、各界で新たなロールモデルとなる注目の人物と対談、これからのビジネスパーソンと日本企業の生き方を探ります。今回のゲストは、博報堂ブランドデザイン若者研究所の原田曜平氏です。

瀧本:原田さんは広告代理店の博報堂の中でもかなり変わったセクションに属していて、かつ、かなり変わった仕事をされています。「大企業にも、こういう人がいるんだよ」というロールモデルの紹介にぴったりだと思って、対談にご登場いただきました。

原田:日本企業って意外と変な働き方をしている人がいるんですけど、あんまり表に出てきませんよね。

瀧本:そうなんですよ。でも保守的に見える大企業にも実はそうとう変わった人がいて、独自のポジションをつくっている。

もともとは映画監督になりたかった

瀧本:まず、原田さんはなぜ博報堂に行こうと思ったんですか。

原田:僕はもともと映画監督になりたくて、大学時代は脚本学校にも通っていました。でも映画会社のOB訪問に行くと、「うちの会社に入ったって映画なんかつくれないよ」と言われた。今でこそ邦画は大人気ですけど、当時は製作本数がすごく少なかったんです。映画がダメならテレビドラマがいいと思ってドラマの強いテレビ局を受けたんですけど、最終面接で落ちてしまいました。

あまりにも落ち込んでいた僕を見てゼミの先輩が、「博報堂という会社があるんだけど、どうだ?」と声をかけてくれた。「聞いたことはあるけど、博報堂ってなんですか。文明堂みたいな、お菓子の会社ですか」程度の理解でした。マーケティングのゼミにいたのに、映画の脚本ばっかり書いていたからたいへん不勉強で、今から考えると本当に恥ずかしい限りです。

瀧本:でも、実際そういった経緯ではいる人のほうが面白い人多いですよね。

原田:広告代理店に入れば、CMプランナーやコピーライターという道がある。映画とはかなり遠いけれど、まだ自分の志向に近い方向に行ける可能性があると思い、話を聞いてみ ることにしました。当時の博報堂には、社員が面白いと思った後輩を推薦できるリクルーター制度があったので、人事の人と会うことになった。そうしたら脚本の内容が面白がられて、面接が進み、するっと受かってしまった。希望していたわけではないのに、ご縁って本当に不思議なもの ですね。

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