瀧本:今、それこそアプリケーション系のベンチャーが次々に生まれるのはAWS(Amazon Web Services)という、簡単にスケールするモデルがあるからです。そうするとある種、オムロンは、そういうものづくりベンチャーにとってのAWSみたいな存在になればいい、っていうイメージなんですかね。
小澤:ある意味、イエスなのですが、オムロンだけでは成し得ない部分も多いんですよ。ITのようにひとつのプラットフォームですべてが作れるというわけではなくて、製品のジャンルごとに、テクノロジーのジャンルごとに得意、不得意っていうのがありますから。そういう意味では、もっと多くの企業がオムロンのようなことをやればいいと思っています。
日本は大企業とベンチャーとの隔たりが大きい
瀧本:なるほど。そういう会社は出てきていますか。
小澤:水面下で関心を高めているメーカーは増えています。もう少ししたら、手を挙げるところが出てくると思います。
瀧本:ベンチャーとのオープンイノベーションを進める中で、小澤さんは今、個人としてどんなことを課題にしていますか。
小澤:この取り組みを始めて1年経ったところですが、今のところはそれほどストレスな状態はありません。ただ、進めていく中で、いろいろと悩ましいことは出てくると思います。ベンチャーとウィンウィンの関係を築くには、かなりいろいろなことをやらなければいけないと思います。なかなかお手本がない。西海岸の動きはそれに近いのかなと思いますが、日本ではどうしても大企業は上から目線で、ベンチャーを使ってやっているみたいな状態になってしまいがちなので、その運び方が重要だと思います。
瀧本:西海岸だと、大企業でビジデブ(事業開発)をやっている人がベンチャー出身であることが多く、そもそも人の動きがありますからね。スタンフォードとかUCバーグレーをハブにして、みんなつながっているところがあり、そこに共通の言語もある。シリコンバレーでの転職は、実態としてはシリコンバレーという同じ会社の事業部を移動しているに過ぎない。それと比較すると日本は、ベンチャーコミュニティにいる人たちと、大企業コミュニティにいる人たちの文化には、かなり大きな差があります。
小澤:この意識差を克服してうまく回るようにするまでに、相当時間がかかるんじゃないかと思います。
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