気鋭のベンチャー社長が「自動運転」に描く夢 自動車メーカーと対等な関係を築けるか
「音楽ロボット」が転機になった
――二足歩行ロボット開発企業として起業しながら、自動運転技術の開発に転換した経緯は?
2000年ごろ、文部科学省傘下の科学技術振興機構(JST)が二足歩行ロボットを研究しており、そこから技術移転を受けて2001年1月に会社を作った。一人で始めたのだが、当時は二足歩行のロボットが家庭に広まっていくという期待もあった。
2004年には「nuvo」というロボットを58万8000円で発売して、ネットでずいぶん売れた。外出先から携帯電話でアクセスすると家の中が見えるという機能も付けて、「留守番ロボット」とも呼ばれていた。
ただ、ロボットというのは何を強みしたらいいのか、とずっと悩んでいた。歩くのは面白いけれど、毎日見ていたら飽きるし、一日何度も留守宅を確認することもない。値段も高かったので、安くするために二足歩行から2つのローラーで動くロボットを開発して、2007年に発売した。
家の中を自由に動き回って、リビングや寝室など利用者の好きな場所で音楽を聴かせてくれるロボットだ。これを作ったときに、ようやく自分の中でしっくりくるものがあった。移動を自動化することに、すごく可能性があるのではないか、と。
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