1日3台、トヨタ燃料電池車"手作り"の現場 老舗工場で造られる最先端のクルマ

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2月24日、量産ラインでの燃料電池車「MIRAI(ミライ)」の生産を祝うラインオフ式が開かれた

「ご覧になるまで、ミライはどんな先進的な工場で作られているのだろうか、と想像して来られたかもしれません。実際には、先進的とは程遠い設備の中で、匠の技能を持った従業員が1台1台真心を込め丁寧に作り上げております」

トヨタ自動車の豊田章男社長は、2月24日に開かれた燃料電池車(FCV)ミライのラインオフ式でこうあいさつした。5年前の同日、豊田社長は米国でのリコール問題に絡んだ米公聴会で証言に立った。以降、トヨタでは2月24日を「再出発の日」と位置づけ、さまざまな取り組みを進めてきた。

セレモニーにこの日を選んだのは、燃料電池車で未来への新しい一歩を踏み出す、再出発の日にしたいという思いがある。

ミライの組立は「LFA工房」

ラインオフ式を行った元町工場は、日本初の乗用車専用工場として1959年に作られた。同年のトヨタの生産台数は約10万台、うち乗用車は3万台だった。その後、元町工場で生産された「クラウン」や「コロナ」はモータリゼーションを牽引し、トヨタは日本トップの自動車メーカーへと飛躍した。現在でも、クラウンをはじめ、「マークX」、「エスティマ」など年間約12万台の生産能力を持つ。 

かつてLFAは期間限定で500台製造された

その老舗工場の一角に、匠の技で生み出されるミライの組立ラインがある。かつては500台限定で生産(2010年~2012年)したスーパーカー「LFA」を組み立てた場所であり、今でも「LFA工房」と呼ばれている。

ベルトコンベアーでボディーが流れ、あっという間に完成車になっていく通常の組立ラインと違い、LFA工房ではゆっくりとした時間が流れている。それもそのはず。ミライの生産は1日わずか3台。組立工程はほぼ手作業だ。 

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