トヨタ「エスティマ」が全面改良しない理由 新型ミニバン「エスクァイア」が後継車?
トヨタ自動車の大型ミニバン「エスティマ」。1990年発売の初代から数えて3代目となる現行モデルは2006年1月の登場から、もうすぐ丸9年になる。
初代は9年(1990~1999年)、2代目は5年(2000~2005年)というサイクルで次期型に切り替わった。3代目もそろそろフルモデルチェンジ(全面改良)してもよさそうな頃合いだが、まるでそんな気配がない。現行エスティマから2年遅れの2008年5月に登場したトヨタの大型ミニバン「アルファード」「ヴェルファイア」が、約5年半が経過する2015年初頭にフルモデルチェンジを控えているのと対照的だ。
「天才タマゴ」のキャッチコピーで知られる丸みを帯びた外観で1990年に誕生した初代エスティマはミニバンブーム前夜の日本の自動車市場に衝撃を与え、スタイリッシュな多人数乗り車を好むファンを獲得した。1994年にホンダ「オデッセイ」の登場でミニバンブームが確立され、各社がさまざまなミニバンを投入し、多様化していった中でもエスティマはミニバンカテゴリのスペシャルティカーとして異彩を放ち続けてきた。
モデル末期でも月販3000台近い
現行の3代目エスティマ(エンジン排気量2400、3500cc、ハイブリッドモデル<HV>設定あり、7/8人乗り、車両本体価格は287万円~)はいまだ古さを感じさせず、売れ行きも悪くない。昨2013年度(2013年4月~2014年3月)の販売は3万5669台。消費増税前の駆け込みがあったとはいえ、モデル末期ともいえるタイミングで月販平均3000台近く。立派なロングヒットである。
日本市場でこれだけのミニバンブランドを確立しているエスティマを、なぜトヨタはフルモデルチェンジしないのか――。トヨタ関係者は次期型の存在を否定しないが肯定もしない。少なくとも現時点で、自動車雑誌の観測記事なども含めてフルモデルチェンジの確証情報はない。
この謎を解くカギはある新型車の存在にある。今年10月末発売の新型ミニバン「エスクァイア」(同1800、2000cc、HV設定もあり)。自動車雑誌をはじめ業界関係者の間では、「エスティマの後継車」とも見る向きもあるクルマだ。
トヨタは12月2日、エスクァイアの受注が発売から約1カ月間で約2万2000台と、月販販売目標(4000台)の約5.5倍の出足になったと発表した。内訳はガソリンエンジン車が約8500台、HVモデルが約1万3500台。約6割がHVだ。
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