トヨタ「エスティマ」が全面改良しない理由 新型ミニバン「エスクァイア」が後継車?

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全高1.8メートル以上、1800~2000cc級の7/8人乗りミニバンは日産自動車「セレナ」やホンダ「ステップワゴン」などの強豪がひしめく超激戦区。ライバルメーカーだけでなくトヨタ自身も2014年1月にフルモデルチェンジした「ノア」「ヴォクシー」が同じカテゴリーで、その新車効果も残っている。その中でエスクァイアは車両本体価格が259万円台からと、同224万円台からとなるノア/ヴォクシーの上級版に位置づけられている。

実は自動車系メディア関係者の間ではエスクァイアの外観デザインは評判が決してよくなかった。加えて消費増税の影響で新車販売が苦戦しているご時世でもある。それでもエスクァイアは、かなり好調なスタートを切ったと言っていいだろう。

トヨタ店、トヨペット店が待ち望んでいた

受注を伸ばした要因の一つには販売チャネルが挙げられる。トヨタにはレクサスを除けば4系列の販売店があるが、このうちノアはカローラ店、ヴォクシーはネッツ店で扱っている。運転しやすい手頃なサイズで、エンジンもそれほど大きくなく、多人数がゆったり乗れるというクルマ。残るトヨタ店、トヨペット店にはこのカテゴリーのミニバンがなく、いわば待ち望んでいた。

エスクァイアのリアスタイル。スクエアなデザインが室内の広さをつくっている

エスクァイアのターゲットは、基本的には子育てファミリーだが、ノア/ヴォクシーのように「ファミリー」というキーワードを前面に押し出しておらず、少し値も張るがトヨタ店とトヨペット店は上級車の販売が強く、それぞれの顧客層とうまくマッチしているようだ。

トヨタには2400~3500cc級の大型ミニバンとしてアルファード(トヨペット店)、ヴェルファイア(ネッツ店、いずれも車両本体価格は308万円台~)があり、ノア/ヴォクシーとの間の価格帯はこれまでエスティマが担ってきた側面もある。

ただ、エスティマは一定ファンを獲得しているとはいえ、ミニバンの中ではスペシャリティカーとしての要素が強いうえ、「プレビア」の車名で海外でも売られているモデルだ。サイズも日本の狭い道路を考えると少し大きめだ。

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