1日3台、トヨタ燃料電池車"手作り"の現場 老舗工場で造られる最先端のクルマ

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元町工場の量産ラインでプレスから塗装まで終えたボディーは、この工房に搬送されてくる。組立は「トリム工程」「シャシー工程」「ファイナル工程」の3つの工程に分かれており、各工程の横には部品の準備スペースを設け、そこで組み立てられた部品を車両に取り付けていく。

トリム工程ではまずドアを外すところから始まる。作業効率の向上や作業時にドアを傷つけることを防ぐためだ。ここではワイヤーハーネスやインパネ、メインバッテリーなどが取り付けられる。全ての作業を、作業者自身が確認・チェックしながら進められている。

13名のベテランたちが造り上げる

次はシャシー工程だ。ここではFCVの心臓部であるFCスタックや高圧水素タンクが組み付けられる。水素の配管を組み付けた後に厳重な水素漏れのチェックも行われる。ファイナル工程は、ガラスやシート、ドアなどの取り付け。ガラスは手作業で接着剤を高さ8ミリ、幅12ミリ均等に塗布し、作業員2人で慎重に組み付ける。

どの工程も装置の補助はあるものの、基本的に作業員が自ら行う。自動化された工程は1つもない。それぞれの工程に移る時には、ミライを手押しで搬送している。検査工程も、目視と軍手をはめた手で傷などを慎重にチェックしていく。

一連の工程に関わる作業員は13人。いずれも元町工場のベテランで、LFAの組立に従事していたメンバーやクラウンを作っている高い技能の持ち主だ。作業員1人当たりの組み付け部品点数は、一般的な量産ラインの約40倍ある。

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