トヨタ、日産、ホンダが直面する5つの課題 国主導の自動車産業戦略はどれだけ有効か
製造業出荷額の16.4%、金額にして47兆円。全就業人口の8.8%、ざっと548万人。何の数字かといえば、自動車関連産業が日本経済に占めるポジションである。トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどの完成車メーカーを筆頭に、世界に通用する企業が居並ぶ。輸出も強く、文字どおり“日本の稼ぎ頭”だ。
そんな日本の自動車産業は、今後も国際競争力を保っていけるのだろうか。環境・エネルギー、安全、グローバル化など、国内外のさまざまな社会の変化やニーズに対応していかなければならない。
経済産業省の自動車課は2014年末、「自動車産業戦略2014」を策定した。2010年にまとめた「次世代自動車戦略2010」の改訂版だ。国主導で国際競争力を高めていくための戦略ともいえる。これを読み解くと、日本の自動車産業が直面する課題や目指すべき方向性、未来像が見えてくる。日刊自動車新聞がこの戦略について冊子にまとめ販売している「自動車産業戦略2014」から、その骨子を紹介しよう。
日本の自動車産業が直面する課題は次の5つだ。
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①環境・エネルギー制約の高まり
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②人口増加と個人所得の拡大
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③高齢化の進行
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④都市の過密化と地方の過疎化の進行
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⑤価値観の変化
断っておくが、これは日本の社会に限定したものではない。世界的規模で自動車産業が抱える課題でもある。
そしてこの課題を踏まえて、経産省は自動車産業が目指すべき方向性として4つの戦略を提示する。
一つめは「グローバル戦略」だ。日本のクルマが世界を駆け巡ることを想定すると、関税などの障害を取り払い、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)などの自由貿易を推進し、投資を含めてお金が動きやすくするという考えである。
二つめは「研究・開発・人材戦略」。クルマという製品は、それぞれの技術や部品を単に組み合わせることだけで完成するものではない。そこには、自動車メーカーと部品メーカーなどが一体となって行う「すり合わせ」の技術が必要だ。今後のクルマでは、排ガスや安全などの新技術の開発で、メーカーの枠を超えた「すり合わせ」に挑むことが望ましい。メーカー同士だけのつながりではなく、学術機関や行政も巻き込んだ国際バージョンも必要という。
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