脇見などの不注意な運転が原因の衝突事故を機械的に防止する――。自動車メーカーが安全なクルマの究極の姿として目指す“ぶつからない車”への注目が一段と高まっている。
トヨタ自動車は11月26日、衝突の回避や被害軽減を狙って組み合わせた複数の技術を、普及を目指した価格帯(3万~15万円と予想)で2015年早期から順次市販車に導入すると発表した。しかも、2017年末までに、日米欧の各地域においては、ほぼすべての乗用車に設定する。
“ぶつからない”と呼ばれているこの一連の技術は、正式名称を「衝突被害軽減ブレーキ」と呼ぶが、トヨタのみならず国内外のメーカーでここ最近、搭載車が増えてきている。理由は大きく二つある。
衝突被害の軽減効果が高い
一つ目の理由は、文字通り衝突被害の軽減効果が高いことだ。事故に至らないまでも、運転中にカーナビやオーディオの操作に気を取られて一瞬目を離したすきに、前走車や障害物と近づきすぎてヒヤッとした経験をお持ちの方は多いはず。
「衝突被害軽減ブレーキ」は、車両前部に取り付けられたセンサーが常に前走車や障害物との距離を監視し、このままの速度で走っていると衝突する可能性が高くなった場合に警告音を発しドライバーに注意喚起を促し、それでもドライバーが回避動作を行なわなかった場合に初めて自律自動ブレーキが介入して衝突を回避、もしくは被害を軽減してくれる技術だ。
去る10月23日、この「衝突被害軽減ブレーキ」と、車線からのはみ出しを検知してドライバーに教えてくれる「車線逸脱警報」について、国土交通省と独立行政法人の自動車事故対策機構が初めて予防安全性能アセスメントの結果を発表した。これは、被害の軽減効果について公平な試験のもと、先進安全技術を搭載した自動車の安全性能について様々な試験を行うことで正しい普及を目指すために行なわれたものだ。
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