よほどのクルマ好きでも商用車とはなかなか縁がないかと思うが、これがバスともなれば話は別ではないだろうか。通勤・通学の足として路線バスを使っている読者も少なくないはずだ。今回はそんな路線バスからもう少し大きな大型観光バスの知られざる実力を紹介しよう。
大型観光バスのイメージとして誰もが思い浮かべるのが、「ボディが大きくて長い」ということだろう。たしかにそのスケールは相当なもので、全長12メートル、全幅2.5メートル、全高3.8メートル(各概算値)と立派なボディサイズだ。
車両総重量は軽く15トン超え
しかも見た目通りに重く、車両単体の重量(=車両重量)は1万3740キログラム(13.7トン)にも及ぶ。そこに乗客が50人以上乗るわけで、ざっと考えても車両総重量(車両重量+乗客+乗員)は軽く15トン(コンパクトカー換算で15台分)を超える。
今回紹介する大型観光バスは三菱ふそうトラック・バスの「エアロエース」というモデルだ。ちなみに社名の上では「トラック」が先にくるが発祥はトラックではなくバスであり、日本における製造・販売実績は80年以上にのぼる。また現在、三菱ふそうは世界トップの商用車メーカー「ダイムラー・トラック」の一員として、日本メーカーならではのきめ細やかな製造技術を強みに、アジア地域の商用車市場を牽引する重要な役割を担う。
試乗した大型観光バスはボディの長さが違う2台だ。短い左側の車両「通称:MM」は全長約9メートルで、対する右側の車両「同:MS」は全長12メートル。このうち街中で見かける機会が多いのは右側の長いボディ「MS」だろう。この「MS」には、さらにボディの全高を高くして乗客の着座位置を上げることで見晴らしを良くしたスーパーハイデッカー仕様(車名「エアロクィーン」)も用意されている。
乗車人数はボディの長さに比例するのが一般的だが、じつは今回の2台、乗客として乗ることのできる人数はほぼ同じ(「MM」27人、「MS」28人)だ。なぜなのか?
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