今回の試乗は三菱ふそう「喜連川研究所」のある栃木県矢板市をスタート地点とし、福島県、茨城県、千葉県、東京都、埼玉県、群馬県とめぐって再び「喜連川研究所」まで戻る全長約650キロメートルのコース。試乗ルートの70%以上が高速道路であったため、いわゆる大型観光バスの使用環境に近い状態での走行であったが、なんと驚愕の燃費数値を達成した。
実測燃費7.1km/Lがスゴいワケ
実測値で燃料(軽油)1リットル当たり7.1キロメートルの燃費。これがコンパクトカー15台分以上の車両重量である大型観光バスが記録した高速巡航時の燃費数値だ。もっとも、撮影のため乗客定員である28名の4分の1にも満たない6人での乗車だったが、そもそも乗客としての重量カウントは1人当たり55キログラムであるため、仮に定員乗車していた場合と1.2トンしか違わない。
1リットル当たり7.1キロメートルがいかにスゴいのか。これはガソリン車でナンバーワン1の燃費数値(37.0km/l)を誇るスズキの軽自動車「アルト」(車両重量650キログラム)と比較すれば分かりすい。別の取材日に「アルト」で高速道路における燃費数値を計測した結果、最高値で31.5km/lを記録した(「MS」、「アルト」ともにドライバーは筆者)。
以上を踏まえると、「アルト」は「MS」よりも約4.4倍も高速巡航時の燃費数値は良いが、車両重量での比較では「MS」は「アルト」の約21倍も重いということになる。また、「アルト」は軽自動車なので乗車定員は4人だが、「MS」は今回取材した夜行線仕様で30人、一般的な4列シート仕様であれば最大60人(「アルト」の15倍)の乗車が可能だ。
つまり、車両重量を含めた一人あたりの燃費換算で考えると大型観光バスの効率がとんでもなく良いことがお分かり頂けると思う。ちなみに60人乗車した場合は車両重量に3.3トン(55キログラム×60人)が加わるが、「燃費数値の悪化はあっても数%」(三菱ふそう技術者)とのことだから、少なくともこの計算が大幅に狂うことはない。
渋滞路や市街地走行を含めた全試乗ルート(650キロメートル)における燃費数値は、「MS」が燃料1リットル当たり4.18キロメートルで、「MM」が同4.43キロメートルだった。こうした超エコカーぶりは高い燃焼効率を誇るディーゼルエンジンによるものだが、同時にこのディーゼルエンジンは世界トップレベルの厳しい排出ガス規制である「ポスト新長期規制」を軽々クリアしていることからも、CO2排出量低減だけでなく、空気を汚さないという意味が加わることから、超エコロジカルカーであることも実証された。
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