日本電産はボッシュのようなメーカーになる 永守社長に聞く、日本電産の生きる道(下)

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永守重信社長兼CEO(最高経営責任者)が日本電産に施した改革の効果は、着実に表れている。2014年3月期の営業利益は2度の上方修正を経て、前期比約4.5倍の800億円を超えるV字回復となる見込みだ。それでもやはり2013年3月期の業績は、永守社長にとって相当こたえた数字だったに違いない。
ことあるごとに「ある新聞記者から、『栄えある40周年を迎えるときにこんな決算をして悔しくありませんか』と言われた」と心底、悔しそうな表情で繰り返す。「そこで僕は言ったんです。君みたいな記者がいるから、日本の経営者はこういう(一気に減損処理を行う)ことができなくなるんだとね」。
現在、永守社長が推し進めているのは、自身の過去の成功体験との決別であり、日本電産の再構築でもある。前回に続き、週刊東洋経済2014年1月18日号(1月14日発売)の未収録部分を中心に、インタビューの拡大版を掲載する。

上下動を繰り返し、売上高1兆円を狙う

――2016年3月期に売上高1兆2000億円という目標は射程にとらえたようですね。

まあそうだ。ただ、車載事業の2016年3月期の売上高目標3000億円に到達するためには、足元の受注残から考えると500億~700億円程度が不足する。だから、2015年3月期中に1~2社は買わなければならないだろう。

――売上高1兆円の大台を超えた後の目標は。

大台を超えるときの壁が非常に厚い。当社も2016年3月期に売上高1兆円を超えることを目標にしているが、それが大きな節目となる。

本来はもう少し早く到達する予定だったが、リーマンショックや円高、タイの洪水などの外的要因が重なって、2回くらい登頂に失敗している。しかし、山登りでも、アルプスなどの高山に登る時には、体を低酸素に慣らすためにいったん8合目まで登ってから6合目に降りるなど、アップダウンを繰り返す。それと同じように当社も2016年3月期に再登頂を狙う。

1兆円に到達した後は、これまで買ってきた会社が伸びる。当社はビジネスポートフォリオを転換しているが、いま伸ばしている車載や家電・商業・産業用のマーケット規模は、パソコンやデジカメといったIT関連のマーケットと比べるとケタ違いに大きい。

自分の規模が大きくなれば、買う会社も大きくなる。売上高が1兆円を超えてくれば、自分の体力に見合った1000億円、2000億円といった規模の会社を買うことになる。売上高が1兆円から2兆円に行くのは比較的、早く到達できるだろう。

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