日本電産トーソクの秘訣、ベトナムパワーを駆使

日本電産トーソクの秘訣、ベトナムパワーを駆使

「こんな精密な部品を本当にベトナムで造れるのか」--ある技術展示会で、日本電産トーソク(以下、トーソク)の製品に目を留めた自動車メーカーの技術担当役員が驚いた。

トーソクが生産しているのは、CVT(無段変速機)やAT(自動変速機)といった変速機部品のコントロールバルブだ。

ハチの巣のように入り組んだアルミニウム製ダイカストに電磁弁や油圧回路、ワイヤハーネスなどの電線ケーブルが張り巡らされている。この、髪の毛1本どころか1000分の1ミリ単位の誤差も許されない精密部品がベトナム製なのだ。

コントロールバルブは、運転する際の加速や減速といったアクセルの動きを、油圧に変えて変速機のギアシフトに反映させる役割を担っている重要な部品。人間で例えると、脳の信号を神経回路を通して筋肉に伝達させる役割だ。

ここ数年、燃費のよいエコカーが求められていることもあり、CVTに注目が集まっている。トーソクの主要な取引先で、世界のCVT生産のほぼ半数に当たる260万台を生産するジヤトコは「ATをCVTに変えるだけで、15%の燃費改善効果がある」と試算する。このCVTを生産しているのは、ジヤトコ、アイシン精機のほか、トヨタ自動車やホンダが一部内製を手掛けるのみ。

自動車部品は儲からない--。頂点にいる完成車メーカーからの値引き圧力が厳しい自動車部品業界では、営業利益率8%で高収益、10%を超えれば優良企業といってもいい。業界外ではほぼ無名といってもいいトーソクだが、CVTのコントロールバルブ生産で世界シェア2割超(本誌推計)と強さを発揮。2011年3月期は13・4%という高い営業利益率をたたき出している(図)。


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