日本電産は個別最適から全体最適へ変わる 永守社長に聞く、日本電産の生きる道(上)

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HDD(ハードディスク駆動装置)用モーターで世界シェア80%と、圧倒的な首位を誇る日本電産。奇しくも創業40周年を迎えた2013年3月期、同社は営業利益が前期比75.8%減の176億円と、大幅な減益に沈んだ。これは1992年3月期のバブル崩壊で営業赤字に転落して以来、約20年ぶりの大誤算。
かねてより小型精密モーターに依存した一本足の事業構造を懸念し、数年前から車載用モーターなどへの事業ポートフォリオ転換を緩やかに進めていた。だが、「予想より2年は早かった」と、日本電産の永守重信社長兼CEO(最高経営責任者)が述懐するように、想定以上の早さでタブレット端末などのスマートデバイスが普及。小型精密モーター市場は急速に崩落した。
しかし、市場の変化に対し、決断も早かった。主力の小型精密モーターの生産能力を一気に削減。生産設備の減損を含む約400億円の構造改革費用を計上。事業構造の大転換を推し進めた。赤字になってからでは遅い、利益が出ているうちに一気に作り直す。創業者であり、ワンマン社長だからこそできる決断だった。
日本電産を第2の創業期へと、再び自分の手で導こうとしているカリスマ経営者に話を聞いた。今回は、週刊東洋経済2014年1月18日号(1月14日発売)の未収録部分を中心に、インタビューの拡大版を掲載する。

連邦経営は限界に来た

――これまで個々の会社の自主性を重んじ、グループ内といえども競いながら成長を促す「連邦経営」が基本でした。ところが、2014年3月期から「グループ一体経営」に移行しています。狙いはどこにありますか。

理由はいくつかある。今までは日本が主戦場だった。しかし、自動車メーカーが典型だが、いよいよグルーバル化が進み、主たるお客さんはアジア、北米、欧州で展開している。

これまでは米国なら米国、アジアならアジア、欧州なら欧州の会社が、それぞれ部品を供給してきた。ところが、今では世界中で同じ品質の部品を、同じ時期、同じ価格で供給できるサプライヤーが必要とされている。

たとえば、ドイツで部品を供給している会社は規模が小さいので、アジアや米国で同じモノをと要望されても、それは不可能。個々のグループ会社には、やれインドだ、メキシコだ、中国だと言われても出て行く力はない。

製品ごとのグループでも再編成を進めている。たとえば、日本電産と日本電産サーボは、ほぼ同じような部品を造ってきた。しかも、グループ企業といえど競争相手でもあった。そこを今回、きちんとすみ分けをして、製品ごとに交通整理をしようというわけだ。個々の会社を重視する連邦経営では、結果的に限界が来たのだ。

今までは個別最適だったが、これからは全体最適が重要。まず連結総体でよくなる方法はどういうものか、これが優先する。自分のところだけがよいというのはもうだめだ。

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