日本電産は個別最適から全体最適へ変わる 永守社長に聞く、日本電産の生きる道(上)

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――グループ一体経営の施策の中でも、工場、設備をグループ間で融通しあうという発想もすごいですね。

グループ間で(工場や設備を)融通し合ったおかげで、設備投資の額をぐんと減らすことができた。ただ、勘違いしないでほしいのは、業績が悪いから減らしたのではないということだ。

使えるところがいっぱいある。たとえば、上海には14社あって、一部の会社では工場が余っているが、他方の会社は増産している。それならば余っているところを使おうという発想だ。減産などで人が余っている場合も、会社同士で融通すれば、クビを切らずに済む。季節要因もある。エアコン向けは冬が閑散期なので、ほかの工場に応援に行くことができる。

「経営のプロ」だからできる改革

――すべての製造業がやりたいと思っていても、なかなかできることではないと思いますが……。

普通だったらセクショナリズムが強すぎて、できないだろう。創業者の会社だからできるという面もある。有無を言わさずやるので。

もちろん号令一下で行うのではなく、ちゃんとしたシステムを作り上げたうえで実行している。購買に関しても、端末を叩けば、どの部品はどこの仕入れ先がもっとも安いかという情報が取れるようなシステムを構築しているところだ。

今度、神奈川県川崎市に基礎技術研究所ができる。そこで技術情報をデータベース化して、ある技術に関して聞きたいときは、グループ内の誰に聞けばいいか、グループ内にいないときはどこの大学の何という教授に聞けばわかるか、などの情報を蓄積する。グループ内の各社は独立していても、中身においては同じ会社という位置づけになる。

――サラリーマン社長には難しいことも多いようです。今後、日本企業が伸びていくには、経営者の育成が問題となりませんか。

経営には2通りある。経営者経営というものと、管理者経営というものだ。課長、部長と上がってきて、そうした管理者がそのまま経営をしているものと、まったくのプロが経営しているものと。

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