「よく聞こえるスマホ」はこうして生まれた

米国で大躍進、京セラ革新技術の開発秘話

米国で躍進する京セラのスマートフォン(写真は日本版、撮影:尾形文繁)

日本の携帯電話市場では、米アップルやソニーに比べて影が薄い京セラ。だが実は、米国市場で急躍進を遂げている。2013年4~9月における同社の米国向け携帯通信端末の販売台数は前年同期比1.5倍。同年1~6月の米国市場での端末販売シェアは4位ながら、日本メーカーとしてはソニーを抑えてトップとなっている。

なぜ、米国で京セラのケータイがヒットしたのか。社長の山口悟郎は「スマート・ソニック・レシーバー(SSR)が付いているおかげ」と、分析する。

SSRとは、セラミックの圧電素子が声を振動に変換し、ディスプレーそのものを振動させるレシーバー(受話部)のこと。ディスプレー部を直接振動させて良質な音を伝えるため、受話部の穴が不要となった。これまでのように受話部から耳がずれると聞き取りにくいということもなく、耳に当てる位置を気にする必要もない。建設現場などで、ヘルメットをかぶったままでも通話できる。

生みの親が語る、発想の端緒

「とにかく聞こえなかったんですよ」――。「よく聞こえるスマホ」の着想のきっかけについて、こう語るのは京セラの大槻滋俊・開発営業部責任者だ。のちに京セラが発売するすべてのスマートフォン、フィーチャーフォン(従来型携帯電話)に標準搭載されることになるSSRは、駅の雑踏の中から生まれた。

その日、大槻は出張を終え、新幹線のプラットホームにいた。列車が構内に入ってきた時、間の悪いことに電話が鳴った。慌てて電話に出たはいいが、駅の人混みの中、大音量のアナウンスが相手の声をかき消していく。自分が乗る新幹線の発車時刻は迫る。仕方なく、途切れ途切れに聞こえてくる言葉の断片から、何とか用件を想像して補った。

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