SIM戦国時代が到来、勝者は誰なのか 「SIMフリー」アイフォーンでSIMカード戦いが過熱
米アップルが11月22日、「SIMフリー」のアイフォーンの販売を開始した。2008年にソフトバンクがアイフォーンを発売して以来、国内の携帯電話会社が販売するアイフォーンには、自社回線以外では通信できないように「SIMロック」がかかっている。SIMフリー版はそのロックがなく、同じ端末で携帯電話会社を自由に変更できるのが特徴だ。
このSIMフリーのアイフォーン登場で、がぜん注目が高まっているのが、MVNOと呼ばれる通信会社が提供する格安のSIMカードだ。携帯電話会社とスマートフォンの契約をすると、基本料金や通信料金を合わせ月5000円以上かかる。それをMVNOのSIMカードに替えることで、月1000円前後に抑えることができる。SIMフリーのアイフォーンでも、格安SIMが利用可能だ。
多様化するサービス
MVNOの安さには、ワケがある。データ通信専用で通話のできないものが多く、通信量や通信速度に制限があるのだ。最も安いドリーム・トレイン・インターネット(DTI)の場合、通信速度が150kbps(キロビット/秒)と遅い。文字中心のサイトやメールのやり取りなら問題なく使えるが、動画視聴は難しい。
それでも料金を節約したいというニーズは大きい。総務省によれば、携帯電話・PHSのMVNO契約数は今年6月時点で593万と前年同期比で約16%伸びている。
参入する事業者も急増している。MVNOは既存の携帯電話会社から回線を借り受けて、通信サービスを展開している。設備投資が軽いため、参入障壁が低いのだ。事業者数は11年末の278社から12年末に345社まで拡大。同時に、MVNO間で熾烈な競争が繰り広げられている。
特に攻勢をかけているのが、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)、インターネットイニシアティブ(IIJ)、日本通信の3社だ。
最初に仕掛けたのは、NTTコム。今年4月、月980円で高速通信LTEを利用できるプランを導入した。1000円弱のプランは他社にもあったが、通信速度が150~200キロビットに制限されていた。NTTコムは「格安SIMは速度が遅い」というイメージを打ち破った。
通信量は1日30メガバイトと上限があるものの、30メガバイトあれば、テキストメールの送受信が6000通、サイト閲覧は120ページ、動画は約15分間見られる。実用性の高さに加え、NTTグループという安心感もあり、人気に火がついた。1480円で1日60メガバイトというプランもあるが、「ほとんどのユーザーが1日30メガのプランを選ぶ」(ネットワークサービス部の新村道哉担当課長)という。
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