「iPhoneもどき」との陰口
先週滞在した台湾で「小米(シャオミー)」と呼ばれるスマートフォンがバカ売れしていた。ショップで触らせてもらったところ、外見もインターフェースもiPhoneそっくりという印象だが、通信キャリアと契約をしていないSIMフリー機の価格がiPhoneの半分以下というのが売りだ。中国では先行メーカーのHTCや華為(HUAWEI)の出荷台数を抜き去って、アップルやサムスンに迫ろうかという勢いだ。台湾をはじめアジアにも進出を始めており、スマホ業界の台風の目になっている。
「小米」を開発する小米科技は日本ではまだそれほど知られていないが、中国で急成長を続ける新興勢力である。基本的にはアップルと同じく自社工場を持たず、OEM(委託製造)に特化。開発力とブランドイメージとデザインで勝負している。そのため社員数も1000人程度と非常に少ない。にもかかわらず、創業からわずか3年で企業価値は1兆円に達しているという。
この小米現象について、私が感じたのは2つのポイントだ。
アップル商法を完全に模倣し、さらにその上をいくような可能性を秘めた戦略を持つ企業が初めて出てきたということだ。そして、もうひとつ、基本的に彼らが競っているSIMフリー機の価格という問題が、いまだにSIMロックの世界にいる日本にとって別世界の出来事であることだ。このままでは日本の消費者は世界のスマホの最前線からますます取り残されていきかねない。
小米は「iPhoneもどき」と陰口をたたかれているが、実際に製造を委託されているのも、iPhoneを作っている台湾のOEMメーカーがばかりである。これらの会社は今、台湾のマーケットで株が急上昇している。iPhone5の新発売と、それにぶつけてきた小米の新製品の発売が重なって、大量の受注で製造が追いつかない「うれしい悲鳴」を上げている状態にあるためだ。
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