中国共産党とメディアの”仁義なき戦い” 南方週末は中央宣伝部に勝利したのか

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この連載コラムでは、中国のみならず、台湾、香港、東南アジアを含む「グレーターチャイナ」(大中華圏)をテーマとする。私は20代から40代前半の現在まで、留学生や特派員として、香港、中国、シンガポール、台湾に長期滞在するチャンスに恵まれた。そうした経験の中で培った土地勘を生かし、「大中華圏」での見聞を硬軟取り混ぜて皆さんにお伝えしていきたい。
共産党宣伝部から、社説の差し替えを命じられた南方週末。その決定に抗議するする人々が、南方週末の本社に集まった(写真:The New York Times/アフロ)

中国のジャーナリストが銀座で語ったこと

新年号の社説が広東省宣伝部によって差し替えられ、中国全土のメディア界を揺るがす大問題となった中国紙・南方週末。その同紙が属する南方報業伝媒集団の記者や編集者数人が、最近、日本を訪れた。その中には、南方週末にいた記者も含まれていた。

その彼らと銀座某所で寄せ鍋をつついた。「懐石」「寿司」など冷たい料理中心の日本食にやや飽きていた彼らは、本来は関西風のうす味だった鍋に大量の唐辛子とゴマを投入して中国風に味を整えてから食いつき、麦焼酎を「白酒に似ている」と上機嫌に飲み干した。

南方週末問題の経緯をあれこれ聞きながら、頃合いをみて、核心の質問を投げかけたのだった。リーダー格のベテラン記者が語った言葉に、なるほどと思わされた。

「野嶋さん、中国でメディアが党や政府に勝利するなんてことはありえないんですよ。でも、今回は負けなかった。それでいいじゃないですか。戦いはこれからも続きます」

負けでもなく、勝ちでもない。その意味を考えてみたい。

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