安倍政権は、中国軍の「暴走」につきあうな 中国は中長期で見れば強くない

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 26日にも誕生する安倍新政権。安倍氏は2001年の小泉純一郎内閣の内閣官房副長官をはじめとして、05年内閣官房長官、06年から07年までは総理大臣を務めた。日中関係が悪化した小泉首相時代の中国との舞台裏も、当事者として熟知している。
今回、中国側は安倍新政権をどう見ているのか。『平成海防論』(新潮社)や『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)などの著書があるジャーナリストの富坂聰氏に分析してもらった。(聞き手:東洋経済オンライン 福井純)
(Imaginechina/アフロ)

中国当局は当初、安倍晋三自民党総裁に明らかに期待していた。いくつか理由があるが、最も大きなものは、小泉政権下で悪化した日中関係を雪解けに導いたことだ。

結局、過去の世界史で見ても、外交関係を改善できるのは、左寄りの政権ではなく、多少右寄りの政権だ。安倍政権が誕生することは、中国にとって当初はいいチャンスだと考えていたフシがある。

また、11月16日に衆議院が解散となり、その後選挙戦に突入していく過程で、確かに安倍氏は中国に関していくつかの過激な発言をしていた。だが当の中国側は選挙戦で飛び出す「過激な話」は、ある意味「有権者に対するリップサービス」であり、政権をとってから、実際に行動に移すのは難しいため、当初は静観する構えでいた。

領空侵犯は中国軍の現場の「暴走」か

だが、選挙戦の中盤あたりで、中国当局が外交情勢分析会議を開催、そこで日本に対する強硬論が急速に高まったとみられる。その結果、選挙戦のさなかの13日にプロペラ機による領空侵犯が起きた。

領空侵犯の一件は、中国軍における安倍新政権への牽制ととらえてよい。警戒信号をあらかじめ発して、先制パンチを仕掛けたということだ。

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