先日のコラムは政界の問題点をわかりやすく比喩するべく、30代、40代を中心とするビジネスパーソンの皆様の脳裏にあるであろう、往年のプロレス像を例えに使ったが、直近のプロレス業界の改革や若手選手の頑張りに対する配慮が不足していた。プロレスファンの皆様を深く傷つけたことを率直にお詫び申し上げたい。
前回コラムに対する反応は「政界と一緒にするな!」というプロレスファンからの怒りが大半で、「プロレスと一緒にするな!」という有権者からの怒りは一通もなかった。
「二世レスラーで父親を超えている人は多い」「政界ごときと比べるなんて許せない」という編集部に寄せられたプロレスファンの皆様からの怒りを真摯に受け止め、深く反省する次第である。
政界が見習うべき改革
私はバンバン・ビガロを一目みたときからのプロレスファンで、愛犬の名前をアンドレ・ザ・ジャイアントからアンドレと名付けたほど、根っからのファンである。だからこそ長らく繰り返された衰退の歴史がモノ悲しかったわけだが、今回皆様からいただいたお叱りの声で、プロレスがどれだけファンから愛されており、政治がどれだけ有権者から冷めた目で見られているかがわかった。
ご批判を受けて早速、最近の試合を勉強してみた。オカダ・カズチカ選手の試合は非常にレベルが高く、そのドロップキックの高さは芸術的であり、プロダクトとしてのクオリティが上がっている。その背景には、新日本プロレスの株主交代(2012年に、トレーディングカードなどを扱うブシロードグループパブリッシングが買収)やレスラーの組み換え、そしてオカダ選手のようにコアファン以外の観客をひきつけられる新しいスター選手の発掘がある。こうした努力は、あらゆる組織が参考にできる経営改革の基本といえよう。
また性懲りもなく政界に例えるのか、と怒られそうだが、政界の復活にも古株議員のリストラ、資質の高い新しい政治家の選出と登用および政治のオーナーシップの交代(既得権益票に支えられた世襲地盤の打破)が必要なのだ。
何よりも棚橋選手の「愛してまーす!」が、冗談ではなく本当にファンへの愛が込もっているから感動を誘うのと同じで、民衆や消費者への愛がなければ偉大な政治指導者・企業経営者になれないのである。
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