アジアには、民主選挙より独裁が向いてる? 欠如する民主主義のインフラ

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今回は選挙直前ということもあり、引き続き日本の政界について私の働く国々との比較で所感を書かせていただきたい。

話好きの私はシンガポールでタクシーに乗るといつも 「景気いかが?政府に何か文句言うとしたら何?」と聞くのだが、総じてシンガポールの人々の政府への支持は極めて高い。

「政府はいい仕事をしてきた」「建国以来一度も与党が変わってないし対抗する野党もいないが、この国をうまく運営し、毎年国がよくなっている感がある」――このコメントは一人の運転手さんがふらっと口にしたものだが、ほかの人もたいていは肯定的な答えを返してくる。一生懸命不満を聞き出しても、住宅価格の高騰や医療コストの高騰、勉強の厳しさについていくらか不満は聞くが、総合的には今の政府を強く支持している。

「中途半端な民主的選挙なんぞ絶対いらん」

一方、一般市民による直接投票で選ばれたわけではないが、結果的に中国の政権も香港の行政長官職も、極めて強固で安定している。実は中国では10年間の指導者だけでなく、その次の10年(つまり習近平国家主席の次)もメドがついているので、一年後は誰がリーダーかわからない国に比べるとリーダーシップの見通しは格段に明確だ。

私の中国人の友人は「日本が低迷している理由は中途半端な民主主義で何も決まらないからだ。アジア人は歴史をたとれば少数エリートをしっかり選抜する仕組みをつくって、後はその人たちに任せる一党独裁のほうがよっぽどよかった。中国の歴代王朝は250年サイクルで交代しており、共産党王朝はまだ50年たっただけで、民主的選挙なんぞ絶対いらん」と力強く語っていた。

ご存じのように、日本では小泉政権以降、毎年首相が替わり、政権の安定性の脆弱さは国際会議の場で冗談のネタにされている。そして12もの政党が乱立しているのに投票したい選択肢がなく、投票に困っている方も多いのではないだろうか。

「自民党が駄目だったから民主党に」「民主党が嫌だから他の党に」と民主主義なのに選択肢がなく、有権者の政治離れが加速している。

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