安倍政権は、中国軍の「暴走」につきあうな

中国は中長期で見れば強くない

ただ、これは非常に危険なシグナルだと言わざるをえない。なぜなら海と空では大きな差があるからだ。

たとえば尖閣諸島周辺の領海やその外側にある接続海域などにおいて、中国の船舶が航行したとしよう。この場合は海上自衛隊ではなく、まず海上保安庁が対応することになり、結果的に比較的「緩い対応」になる。

一方、領空の場合はそうはいかない。「空」に関しては、いきなり航空自衛隊の管轄になる。つまり、世界の常識から見ればいきなり中国軍が日本の「軍隊」を挑発したということになる。これは尖閣諸島で起きていることと次元が違う問題だととらえなければならず、深刻な問題になりかねない。

では、これは中国共産党の首脳部の総意なのだろうか。答えは「ノー」だと思う。中国の国家海洋局は、「海洋監視船4隻の船隊と海空一体のパトロールを実施した」と強調したが、これは日本に対して警告のシグナルを出しておきたいという現場の判断であり、今回は国家海洋局の現場の暴走だと考える。

中国は安倍新政権になっても、尖閣の一件をめぐっては、これからもさまざまなプレッシャーをかけてくることが予想される。だが、共産党中央の制御が必ずしも効いているわけではないことにつねに注意が必要だ。

中国のシグナルを読み違えるな

中国の現場の今回の対応はかなり問題だが、目的はあくまで「日本に対してくぎを刺しておこう」ということで「戦争をしたい」などとは思っていない。

それゆえ、こうした中国の「挑発」に日本の安倍政権は安易に乗ってはいけない。いたずらに反応したりすると、売り言葉に買い言葉のような形なり、危機のレベルを高めてしまうことになりかねないからだ。

では、今後もこうした挑発があった場合、安倍政権はどう対応するだろうか。私は安倍政権(公明党を含めた連立)が衆議院で総議席の3分の2以上という絶対多数を獲得して安定政権になっていることで、2つの見方があると思う。

1つは、少々の挑発があったとしても、政権の基盤は安定しているのだからあまり無理をしないし、する必要がないとする見方だ。少なくとも来年7月の参議院選挙までは、新内閣は安全運転に徹し、そうした挑発には乗らないのではないかという見方だ。

もう1つは、絶対多数を得ているので「何でもできる」というオールマイティな感覚を安倍政権が持ってしまい、その結果大胆な行動に出る、という見方だ。後者は当然のことながら非常に危険であり、私は安倍政権は当面、前者のほうをとると考える。

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