石破茂前首相とトランプ大統領との特別な信頼関係、石破氏が「神様に選ばれて日本での使命を果たしている」ということが相手に伝わっていた

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石破茂前首相(左)と作家・元外部省主任分析官の佐藤優氏(中央)(写真:編集部撮影)
日米関係、価値観、安全保障、現政権の課題──。幅広いテーマについて論じてもらった。

──任期中で最も大変だったこととして、対米関税交渉を挙げています。ドナルド・トランプ大統領との関係はどうでしたか。

石破 最初(2025年2月)に会ったときの第一印象は「いい人だなあ」でした。前の晩にブレアハウスに泊まって、車に1~2分乗ってホワイトハウスに着いたところ、トランプ大統領が玄関で出迎えてくれた。「よく来た、よく来た」っていう感じが全身から感じられて、その瞬間、「あ、この人とは話ができるな」と思いましたね。これは、かなり珍しい体験でした。

佐藤 もともと波長が合ったこともあるでしょうが、選挙期間中に起きた暗殺未遂の際の写真について話をしたことが大きかったと思います。どんな反応でしたか。

「神から選ばれた」

石破 ぱっと顔色が明るくなりましたね。あの写真を気に入っていたのでしょう。「このときに大統領は、自分は神から選ばれたのだと、きっと確信なさったんでしょうね」と申し上げたとき、とてもうれしそうにされた。違う宗派の人間が言うと変なことになったかもしれませんが、同じ価値観を共有する人間が言ったことで、受け入れてくれたんじゃないかな。

佐藤 お2人はカルヴァンの影響を強く受けたプロテスタントのキリスト教徒。「神から選ばれた」と伝えたことで、トランプさんはピンと来たと思います。それに神様に選ばれている人がわかる人は、実は神様に選ばれている人です。だから「私も神様に選ばれて、日本での使命を果たしている」と伝えたことになる。おそらく、いろいろな接点でトランプさんの対応は良かったのではないですか。

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