日本電産はボッシュのようなメーカーになる 永守社長に聞く、日本電産の生きる道(下)
格付けの問題もあるので借り入れを増やし、財務内容が悪くなるのはよくないと思うが、それをあまり気にしすぎると、売り上げが伸ばせない。利益率より利益の絶対額を大きくすることに変わったのだ。過去5年はデフレ下だったので売り上げは伸びない。利益率を改善して利益を出さざるを得なかった。
しかし、今や逆で、これだけグローバルに展開できる体系ができたので、世界に打って出ることができる。世界でトップラインを伸ばしていく。
ただ、モーターを中心とした「回るもの、動くもの」を作っていくという姿勢、理念は変わらない。基本は創業以来、何も変わってない。それとハードワークも。私も含め、いい加減、ゴルフでもやって楽しもうという社員はいません。
金メダルなら、スケート基金を作る
――2月にソチ五輪が開催されますが、グループ内にはスピードスケートの有望選手がいますね。
前回(バンクーバー五輪のスピードスケート500メートル)は、銀メダルと銅メダルだった。今回狙うのは、もちろん金メダルだ。これには力が入っている。
今回、金メダルを取れたらスケート基金を作る。会社の部活動としてやっていると、業績が悪くなるとやめてしまう。そうならないよう、ポケットマネーで基金を作る。将来、会社がなくなったとしても、スケート部だけが残るくらいのものが形にできないか考えている。
そのためにも今回、好成績を残してほしい。金メダルが取れれば、そこに有望な選手も集まってくる。今、日本電産サンキョーのスケート部には8人しかいない。それを20人くらまで増やしたい。24時間、365日練習ができる専用練習場も造ってやりたい。そのためには50億円くらいかかると思うが、50億円の基金を作って運用すれば不景気も関係なくなる。
とにかくグループをあげて応援している。こういうマイナーなスポーツは、国民により大きな感動を与える。会社の経営では、全国民に感動を与えることはできない。これはまったく別物。経営者である自分は経営で全国民に感動を与えたいが、それは無理。やはりそこはスポーツの力だろう。
(撮影:今井康一)
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