世界で戦える企業・人材になる修行法とは? 森本作也×瀧本哲史 対談(後編)

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――おふたりに聞きたいのですが、今、「グローバル人材」などの言葉が、すごく軽薄に使われていますが、本当のグローバル企業とかグローバル人材とは何だと思いますか。

森本:僕はグローバル人材って、何があっても、自分でいられる人のことだと思います。つまり相手がアメリカ人でもフランス人でもイギリス人でも日本人でも同じという感覚を自分の中に持っている。われわれはどうしても同質意識が強いので、そこから外れた人に会うと身構えてしまう。でもだんだん経験を積んでいくと、ある程度、慣れた分野の人とは付き合える。それから特定の外国人とは付き合えるようになる。さらにいくと、初めての人でも同じように付き合える。あるいは文化がまったく違っても、議論もできるし、結論を導けるようになる。その段階でリーダーシップを取れる人が理想でしょうね。友達にはなれても、リーダーシップを取るというのは、また一歩先の話ですから。

瀧本:僕はグローバルとは言っても、普遍性を獲得することが重要で、英語力はその手段のひとつにすぎないと思います。森本さんはロジカルな説明ができるほうが、英語がうまいよりよっぽど伝わるとおっしゃっていましたが、なぜロジックに価値があるかというと、ロジックは言語を横断する普遍的なものだからですよね。多分、どんな文化でも普遍性の部分でつながることができる。さはさりながら各文化は違うので、自分もまたローカルに拘束されていることを意識する必要があると思います。

森本:ローカルの文化の違う部分と、共通で持つ普遍性の両方がないといけないでしょうね。つまりひとつの会社である以上、必ず共通の部分はあるんだけれど、インプリメンテーション(実装)は、必ずローカルに合わせなければいけない。その間を自由に行ったり来たりしないといけないと思います。

盛田さんからの言葉

瀧本:ソニーは普通の家電メーカーに比べると、明らかにエンジニアリングや技術を前面に押し出した会社なんですよね。尖がった技術を使って、生活を豊かにする楽しい感じの家電製品をつくろうというところが普遍的です。一方でソニーが世界中でどこでも同じように売っているかというとそうでもなくて、たぶんマーケットに合わせている。普遍的なブランドメッセージとローカルを行き来していると思います。

森本:僕はソニーの社長だった盛田昭夫さんとは、1回しか話をしたことがないんですよ。新入社員の頃、新入生から社長にインタビューするという企画に呼んでもらって、そのときちょっと口はばったい質問をしましてね。

その頃はソニーの業績がちょっと悪くなっていた頃で、「ソニーの製品って娯楽用ですよね。娯楽って景気が悪くなったら最初に切られるんじゃないですか。われわれソニーの製品はいらなくなるじゃないですか?」って質問したんです、生意気にも(笑)。盛田さんはそれを軽くいなしてね。「僕は海軍にいたけれど、毎日、毎日戦争の中にいて、人間そうもつものじゃないんだ」と。「エンターテイメントというものは、人間にとっては生活のおまけじゃなくて、本質的に慕うもの。エンターテインメントがなくなることはないよ」と言われた。

それを聞いて、自分とは次元が違うと恥ずかしく思いました。だからソニーは技術はあるけれど、実はエンターテインメントの会社です。

瀧本:だから社名を「ソニー電器」にしなかったわけですね。あくまで提供するのは「楽しいこと」なので、それが電器である必要はないからでしょう。

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