“正しさ”だけでは決められない──「よりよい決断」に必要な思考法とは?ノーベル賞学者が教える「価値観と思考」の授業の中身

意思決定における「価値観」の扱い方
しかしながら、何かを決めるときに、事実だけ考慮すればいいという状況はほとんどない。もちろん、「チャーリー・チャップリンとマルクス兄弟のどちらが面白いか」や、「レッドソースとグリーンソースのどちらが美味しいか」を決めるときなら、事実以外は何も必要ないと感じるだろう。
だがたいていは、事実が必要とはいえ、事実さえ気にかければいいというわけにはいかない。
意思決定を行う際には、価値観、倫理観、恐怖感、目的といったものがしばしば重要な要素となる。
医療事案ですら例外ではなく、ふたりの人がまったく同じ情報を受け取っても、違う治療を選択することはありうる。
あなたが病院のベッドで目覚めたシチュエーションに話を戻そう。あなたはエビデンスが示すことについて評価を下さねばならない。ただし、その状況下のあなたにとって何が重要かを天秤にかける必要もある。