医者を拒否し「謎の代替医療に頼る人」のカラクリ 自分の価値観へ固執するようになっていく必然

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現代医療を選択せず、科学的根拠のない怪しげな「代替医療」にハマってしまう理由はなぜなのか(写真:zaksmile/PIXTA)
「がんに効く」「がんが治る」――このようなうたい文句で勧められることが多い代替医療。なぜ、人々は吸い寄せられてしまうのか。
真鍋厚さんの書籍『共同体なき死 いずれ死にゆく生者たちへ』より一部抜粋・再構成してお届けします。

なぜ私たちは怪しげな方法に頼ってしまうのか

通常の現代医療を選択せずに、科学的根拠のない怪しげな「代替医療」にハマってしまう人が後を絶たない。しかもそれが著名人やタレントであった場合、その発言などが広範囲に影響を与えることから批判の対象にされることが多い。これは誤情報の拡散などリテラシーの面で実害があるからである。

ソーシャルメディアでは、実際に難病や末期のがん患者などのアカウントに対して、業者の回し者でもないのにエビデンスに乏しい代替医療をしきりと勧める者が珍しくない。実際、知り合いなどからセミナーに誘われ、正規の治療を拒否した結果、病状を悪化させてしまうケースもある。

こういった出来事は、本人がもともと持っている価値観が直接的な要因になっていると考えられるが、「死の恐怖」がその価値観をより強固なものにする心理的なメカニズムが指摘されている。「恐怖管理理論」(Terror management theory=TMT)である。

TMTは、社会心理学者のシェルドン・ソロモンらが考案した仮説で、人々は文化的世界観と自尊心という二つの緩衝材によって、死の恐怖から自分自身を守っていると考えるものだ(シェルドン・ソロモン、ジェフ・グリーンバーグ、トム・ピジンスキー『なぜ保守化し、感情的な選択をしてしまうのか 人間の心の芯に巣くう虫』大田直子訳、インターシフト)。

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