普通にしていても「問題児」と言われた
「15分ほど遅れそうです」。待ち合わせ場所に向かっていたとき、ショウタさん(仮名、26歳)からこんなメールが届いた。事前に注意欠陥多動性障害(ADHD)だと聞いていたので、よくあることなのかなと思う。ところが、ショウタさんはオンタイムで到着。私が不思議そうな顔をすると、笑いながらこう説明してくれた。
「いつもは途中の風景やお店が気になって遅れちゃう。だから、約束の1時間前には30分とか、15分とか、遅れるという連絡を入れるようにしているんです。同じ遅刻でも、ワンクッション置いたほうがいいかと思って。でも、今日は(新型コロナウイルスの影響で)お店がみんな閉まってたので、ぴったり着いちゃいました」
ショウタさんにはほかにも発達障害と思われる特徴があった。ノートに連絡先などを書いてもらっているときに話しかけると「すみません、ちょっと待ってください」と止められた。書くことと、質問に答えることといった2つことを同時にできないのだという。
話を聞いたのはファミリーレストラン。近くの席の人が話をすると、ショウタさんはそちらの会話に気を取られ、そのたびに私たちの会話は中断した。周囲の話し声も電車や車の音も、ショウタさんには同じような感覚で耳に入ってくるらしい。
「小学生までは『ちょっと変わってるけど陽気なヤツ』でした。でも、中学生になると普通にしてるつもりなのに、先生から『問題児』だと言われるようになって……」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら