知られざる東京「ホテル御三家」の底力 ニューオータニに見る、和製ホテルの進む道

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木が化石になった「木石」

――そういうお宝を巡るツアーがあるだけでも面白い。

今、もっと人気があるのが「環境ツアー」で、このホテル、この街がどれだけ環境に配慮した、さっきの設備を持っているかを見るツアーがあります。みなさんやっぱり関心があるのですね。

昔は職場で慰安旅行がありましたが、今の研修旅行には目的がないといけないでしょう。環境設備を見てから宴会なんて、なかなかいい企画じゃないかと(笑)。

本当のラグジュアリーは、災害対応も試される

――東京オリンピックを契機に、地方や海外の企業を東京へ誘致しやすくなりそうですね。

ええ、でも日本の文化、江戸の文化がある東京を、もっとみんなが興味を持ってくれるような街づくりをしないといけないし、ホテルもそれを示さないといけないと思います。

「エグゼクティブハウス 禅」の廊下。町屋敷を彷彿とさせる

東京はなぜ人気がないかというと、結局、見るものがないし、夜遊ぶ場所もない。ホテルがある程度先頭に立つべきかなという気がします。

それともうひとつ、東日本大震災でもあったように、災害時にどうするかが非常に重要な問題です。宿泊客やテナントの方、帰宅困難の方も来られたりしました。地震が起こった際に、国賓の方が泊まっているかもしれないし、ホテルは営業をストップすることができない。

当ホテルは1500キロワットのジェネレーターを3機持っていて、ホテルで日々使っている電力の30%が賄えます。電気、ガスが止まっても、備蓄タンクがあって3日間は稼働できるのです。

――30%を3日分。

ええ。あと、井戸があるのですが、これは災害協力井戸になっていて350トン、1日当たり11万人が使う水を供給できます。食料はありますから。国家レベルで重要な方が来られても、われわれは安全な場所でサービスを提供できる。これからのラグジュアリーホテルの重要なポイントだと思います。

(撮影:尾形文繁)

 

筆者が手掛けた東洋経済オンラインのホテル連載が、電子書籍「1泊10万円でも泊まりたい ラグジュアリーホテル 至高の非日常」(小社刊)になりました。10万円以上するような部屋に泊まりたいと思わせるラグジュアリーホテルの魅力とはいったい何なのか。厳選9ホテルの総支配人たちが大いに語っています。

 

山川 清弘 東洋経済『株式ウイークリー』編集長兼「会社四季報オンライン」副編集長

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やまかわ きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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