コロナで現実味を増す「ウェブ面接」は広がるか 「HRテック」を活用できる会社、できない会社

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例えば、自社で活躍している人材はどのようなタイプなのか? 逆に会社を辞めてしまった人はどのような価値観をもっていたのか? こうした情報を、応募者の属性データと照らし合わせて、退職者や活躍している社員との相関(近しさ)を採用担当者に提供できたら、可否判断に変化が生じて、ミスマッチ採用が減るのではないでしょうか。

中途採用でも同様です。仮に会社としては喉から手が出るくらい欲しい大企業の幹部社員が候補者だったとしても、データ分析の結果、過去に退職者の多かったタイプと近かったり、配属したい職場の上司との相性も今ひとつ……といった結果がデータで示されたとしたら、どうでしょうか。

採用プロセスでより深く丁寧に面接をしたり、または、結果的に採用しないという選択肢も考えられます。HRテックを使った採用は、単なる業務の効率化だけではない、配属から将来への期待を見据えた判断材料という価値も創出できるのです。

離職の最も大きな原因は・・・

採用のミスマッチを予測し、早期離職を未然に防ぐ適性検査を提供しているベンチャー企業ミツカリの調査によると、離職の最も大きな原因は、人間関係や社風とのミスマッチということ。同社は、研修や待遇改善によって離職を防ごうとしても、社風とのミスマッチを解消しない限り、根本的な解決には至らないと断言しています。

同様の考えを持つ企業は、徐々に増えてきているように思えます。最終選考まで来ている候補者に内定を出すか否かにおいて、配属先の上司との相性や職場環境を踏まえて判断する。スキルだけでなく、会社のカルチャーとの相性を選考基準で重視するなど、マッチング強化の取り組みがより求められているのかもしれません。

ただし、すぐにうまくいくほど、ことは簡単ではありません。多くのケースで、何らかの問題でつまずくようです。

その1つは、活用できるデータがないことです。例えば、社内で使用する適正テストを頻繁に変えていたら、データとして分析ができません。この問題は以前の記事でも指摘した部分で、地道に蓄積していく必要があります。

それ以上に問題なのは、マッチング強化を推進できる人材が人事部にいないことかもしれません。まず重要なのは基礎となるデータ活用ですが、データをどのように解釈して、どのように採用の判断に使うか? それらは担当者の技量にかかっています。データが必ずしも正確ではなかったり、データでは測れない部分もあるので、人の判断はますます重要になります。

例えば、2人の採用候補者がいたとします。過去のデータと照らし合わせると、入社後の退職確率が少しだけ高いと出ている人のほうが、入社への熱意を感じて、経験と勘では欲しいと感じたとき。そんなときにどのように判断すべきか?

こうしたデータだけでは汲み取れない部分も加味して、意思決定することを、誰かがしなければいけません。こうしたデータ活用に精通した人材を人事部に配属するないしは育成していかないとうまく進まないかもしれません。

最近はデータ活用について学べる講座も世の中に増えてきました。人事部もHRテックの活用とあわせて、データ活用のスキルを備えるための取り組みが必要と考えるべきかもしれません。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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