英語の「外部試験導入」は、改善か?改悪か?

大学入試英語は本当に変わるのか?

56万人もの学生が受験するセンター試験。その改革の行方に注目が集まっている(写真:アフロ)

検証すべき5つのポイント

年初から英語教育に関する大きな動きが起こっています。文部科学省では「英語教育の在り方に関する有識者会議」が2月に発足し、英語教育に関する議論が活発化しています。この会議には私も委員として参加させていただいています。英語教育に関する議論に、現場の状況をフィードするつなぎ役になれればと思っております。

さて、ここ10年以上の間、「入試に外部試験を導入せよ。」という意見が強くなっており、新聞などの報道でも、TOEFL、TOEICなどのテスト名が飛び交っています。とはいっても、これらのテスト名を単に「実用的な英語」の象徴としてやみくもに乱用しているだけのような印象を受けることも多々あります。

外部試験にも大学入学試験にも様々なものがあります。今回はこれらの試験に関しての考察をしてみます。また、どのような形で外部試験を導入すれば、大学にとっても学生にとっても利益が大きくなるのかを私なりに提案させていただきます。

まず、現行の大学入試の何が問題なのかということです。例えば、センター試験ですが、この試験に関して問題視されているのは、リーディング200点(文法・語彙含む)、リスニング50点、ライティング・スピーキングはゼロという極端に偏ったバランスです。

センター試験の設問自体はよく練られた良問です。また、使われている英語のレベルも適切だと思います。しかし、得点のバランスやリスニングのナレーションが2回も流されるという仕組みも適切なのか否かという議論があります。センター試験だけではなく、私大の一般入試や国立大の2次試験もリーディングへの偏りや、指導要領にそぐわない従来型の和訳問題など、日本語を多用した設問が多く含まれていることが問題視されています。一部の大学はリスニングやライティングの比率を高め、バランスのよい問題を作成しています。しかし、残念ながら入試全体としてのバランスは以下のグラフの通りです。

一方で、外部試験の多くはバランスの良い4技能試験です。内外のテスト作成の専門機関が競争しながら作っているため、個々の問題のレベルも非常にクオリティの高いものに仕上がっています。しかし、受験者のレベルと問題のレベルが合っていないと本来の判定能力を発揮できないという問題が生じます。

 

 

 

 

試験がそれまでの学習者の学習形態に与える影響は、決して侮れません。実際、多くの高校生の3年生はセンター試験対策に多くの時間を充てます。学習スタイルは試験によって大きく左右されます。

さて、試験と学習者へのマッチングを考える際には、以下の5つの視点から試験を検証することが大切だと思います。

① LRSWバランス → 4技能のバランス

② CEFRレベル → 試験の測定対象となるレベル

③ TLUドメイン → 試験の対象となる使用言語領域

④ 試験の実施形態と受験者の利便性

⑤ 試験自体の実力と信頼性

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