一般的には、価値観や行動パターンが似ている“似た者夫婦”がうまくいくと思われがちだが、私はそうではないという気がしている。価値観や行動パターンは年月とともに変わっていくものなので、ズレが生じたときにお互いの気持ちもすれ違っていくのではないだろうか。
逆に、まったく性格の違う“対極夫婦”は、お互いの欠点を補い合い、どうしたら2人の関係がうまくいくのか、落としどころを年月とともに見つけていく。
これまで送り出した成婚カップルを見ても、似た者夫婦よりも対極夫婦のほうが多かった。
華やかな経歴なのに自己肯定感が低い男
人には、生まれ持った気質がある。その気質に、親の子どもへの接し方、受けた教育、出会ってきた人たち、育ってきた環境が相まって、人格や性格が形成されていく。
晃一が入会面談にやってきたときに、こんなことを言っていた。
「僕は、すごく自己肯定感が低いと思うんです。自分に自信がないし、小さなことにこだわりすぎて、どんどんマイナスな方向に考えが及んでしまう。この性格を何とかしないといけないとは思っているんですが」
この言葉を聞いたとき、とても驚いた。晃一は、超一流大学を卒業し、その後は大手企業に勤め、年収も1500万円あるという華々しい経歴の持ち主だったからだ。
「何も自分に自信をなくす要素はないと思うけれど」
こう言う私に、彼は言った。
「これは生まれ持った気質だと思うんですが、周りで起こる出来事を敏感に受け取ってしまう。あと、弟がいるんですけど、弟は子どもの頃から要領がよくて、僕が親から怒られているのを見ると、自分は怒られないようにうまく立ち回っていた。怒られるのはいつも自分、褒められるのは弟という図式の中で育ってきたんですよ」
さらに、これも持って生まれた気質なのだろう。記憶力がずば抜けてよかった。
「そこは勉強では得した部分だと思います。でも、どんなことでも覚えているので、周りで起こる些細なことが気になってしまう。人に言われたことにも過度に反応してしまうから、すごく生きづらい」
確かに人から言われたこと、やられたことをいちいち覚えている人よりも、大雑把に捉えて笑って流せる人のほうが、うまく人間関係を築けるし、生きやすいだろう。
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