それを聞かされた晃一は、急に不機嫌になった。2人で会う約束だったのに、なぜ4人で会わないといけないのか。
不穏な空気が流れたが、そこは晃一が折れて、最初は4人で会って2時間ほど会食をし、その後は2人のデートを楽しんだ。
晃一にしてみると、陽美は自分の都合や考えで、決めていた予定をどんどん変えていく。そこにいつも自分が付き合わされる。振り回される。
しかし、陽美にとってはそこにまったく悪気はないし、晃一を振り回しているつもりもなかった。
交際終了を決めた出来事
そして、ついに陽美が交際終了を決意する出来事が起きた。
その日は休日で、陽美は行きつけのヘアサロンを予約していた。終わる時間を計算し、夕方6時にサロンの近くにあるイタリアンレストランを予約していたのだが、思いのほかサロンが早く終わった。
『予定よりもずっと早く終わって5時にはお店に行けそうだから、1時間早く待ち合わせしよう』
実際は、5時よりもさらに早くお店に行けたので、先に入りビールを飲んでいた。すると、明らかに不機嫌な形相で晃一が店にやってきた。
そのときのことを、陽美は私にこう話した。
「顔がもう怒っていて。“えっ、私、いったい何をしたんだろう?”って、ドキドキしちゃったんです」
やってきて座るなり、晃一は言った。
「待ち合わせの時間を変えるなら、もっと早めに言ってほしい。この間も、お昼に会う約束が、陽美ちゃんの予定で3時になったよね。何だかすごく雑に扱われている気がする」
「雑に扱われている」という言葉に、それまで何とかうまくやろうと頑張ってきた思いと、ずっと抑えてきた感情が一気に噴き出し、陽美はボロボロ泣いてしまったという。
彼女は、これまでの晃一との付き合いを私にこう振り返った。
「親友とタブルデートをしようと決めたのは、親友に付き合っている晃一さんを紹介したかったから。お昼の約束を3時に変えたのは、どうしても外せない用事ができたからだし、ヘアサロンが早く終わったのだから、早く会いたいと思った。こっちがよかれと思って提案していることを何でもネガティブな方向に取っていく。この人と結婚生活をしていくのは難しいと思いました」
これまで些細なことでケンカしても許し合って、結婚へと前に進んでいたのだが、陽美が最終的に下した結論は、“交際終了”。
その後、晃一が、「これからは大切な人を悲しませないように、この性格を変えていくようにします。もし可能ならもう一度話をしませんか?」と、LINEを入れたようだったが、陽美の気持ちは変わらなかった。
陽美に振られてからの晃一は、はたから見えていても気の毒なくらい落ち込んでいた。
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