婚約したからといって、そこからスムーズに結婚につながっていくとは限らない。どちらか一方が心変わりをして婚約が解消されることもある。関係の終焉はどちらも傷つくものだが、した側よりもされた側のほうが心に大きな傷が残るだろう。
仲人として婚活現場に関わる筆者が、毎回婚活者に焦点を当てて、苦悩や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、「婚約破棄を乗り越えて、次の幸せをつかんだ女性」のストーリーだ。
「入籍するまでは安心できません」
佐藤佳代子(35歳、仮名)は、太田裕太(39歳、仮名)と結婚を前提にした真剣交際に入っていたのだが、3月に裕太からプロポーズをされた。その報告を電話でしてきた。
「都内の素敵なレストランで、『結婚してください』とプロポーズしてくださいました。デザートのケーキプレートには、“ずっと大切にします”とチョコレートで書かれていて、『この日の記念に』と、ダイヤのネックレスもいただきました。『婚約指輪は、今度一緒に買いに行こうね』と言ってくださいました」
その声はとてもうれしそうに弾んでいた。そこで、私は言った。
「じゃあ、今月末の成婚退会にしましょうね」
すると、弾んでいた声を一転させて、少し不安げに言った。
「あの、入籍するまでそちらにいたいです。前みたいなことがあるかもしれないし。入籍するまでは安心できません」
実は、彼女にとってこれは、生涯で2回目のプロポーズだった。
1度目のプロポーズは、1年前のこと。お見合いで出会った大友康晴(42歳、仮名)に、海の見える夜景のきれいなレストランでロマンチックなプロポーズをされた。
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