以前、この連載で「婚活アプリや結婚相談所に登録し、出会いを繰り返しながらも結婚相手が決められないのは、ネット婚活の弊害だ」と、書いたことがある(「検索時代が生んだ「婚活難民」の果てなき迷走」)。スマホやパソコンで、いつでもどこでも相手が検索できるので、次々と新しい出会いを求めてしまうのだ。
新しい出会いを求めてしまうのは、出会った相手が理想どおりではなかったから。特に女性に多いのは、いいか悪いか決めかねているときに母親に相談をし、お相手男性のダメ出しをされて、「ハイ、次!」の決断を下してしまうというケースだ。
アラフォーの婚活を阻む"お母さん"の存在
仲人として昨今の婚活事情を見ていくと、アラフォー女性の結婚を難しくしている一因は、どうも母親にあるように思えてならない。
近年、“毒母”という言葉がよく使われるようになった。私はその専門家ではないので、細かな分析はできないが、結婚相談所の会員と母親との関係を見ていると、娘の結婚を難しくしている母親には、2つのタイプがいるようだ。娘の婚活にあれこれ口を出す“支配型”の母と、はなから「あなたのような性格の人は結婚できっこない」と決め付ける"否定型"の母だ。
支配型の母を窮屈に感じ、そこから脱却した娘はいいのだが、支配を「愛情」だと勘違いして、母を“何でも相談できる存在”と信頼し切っている娘たちもいる。そして彼女たちは、出会いを繰り返す婚活難民になっている。
すでに30回を超えるお見合いをしている井上恵美(39歳)は、まさにこのタイプだ。見合いをするたびに、男性の経歴、家庭環境、どんなデートをしたかを、事細かに母親に報告する。母が自分の結婚のいちばんの応援団長だと思っているからだ。
しかし母にとって娘とは、いくつになっても自分の支配下にあり、間違った方向に行かないように目を光らせていたい存在なのだ。アラフォーの娘が婚活市場の中でどの立ち位置にいるのかも把握せず、男性の学歴、年収、家族構成、仕事に決まってケチをつけていく。“娘によりよい結婚をさせたい”という親心が、娘の結婚の可能性を、次々に潰していくのだ。
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