「恵美さんの結婚だから、お母さんの意見よりも自分の気持ちを優先させましょうね」と言ったところ、一応は「はい、そうですよね」と返事はしたものの、その後もやはりお見合いが終わる度に母親に逐一報告し、母の言葉を婚活の指針にしていた。
あるとき、とても条件のいい男性とお見合いを組むことができた。東京・下町の地主の息子(43歳)で、年収800万円。3人兄弟の長男であり、誰もが知る名のある企業に勤めていて、見た目も悪くない。
お見合い後、交際に入ったのだが、2度目のデートを終えたところで恵美からまた、「交際終了にしてください」と言ってきた。
「どうして? 今までお見合いしてきた中でいちばん条件のいい人じゃない? 年も近いし、年収もあるし、兄弟もいる。恵美さんが挙げている条件をすべて満たしていると思うけど」
こう言った私に、恵美は「デートしてみたら、なんか話が合わなかったんですよね」と理由を述べたが、さらに掘り下げて話を聞いていくと、最後にはやはり母親からの反対に行き着いた。
「ご実家が地主さんだけに、周りが親戚だらけなんですよ。町内会も彼の一族が仕切っているようで、年中行事の度に親戚一同が集結する。母にその話をしたら、『あなたは一人っ子で、今までのんびりのほほんと暮らしてきたのに、親戚が周りに大勢いる本家の長男の嫁なんて務まるはずがない』って言うんです。彼は、『結婚後は別居』と言っているけれど、そんなの最初だけかもしれないし、母が言うように男性の両親や親戚がたくさんいるところに嫁いだら、苦労は目に見えている気がしたんですね」
結婚は人生を懸ける選択だ。出会った相手を信じて、好きになって本当に幸せになれるのか、第三者の意見が聞きたくなる気持ちはわかる。そこでいちばん身近な存在である母に相談したくなるのは理解できる。ただ、その母は、決まって男性のダメ出しをする。すると一気に気持ちがマイナス方向に裏返ってしまう。
母親に何でも相談する女性は、優等生気質の女性が多い気がする。小さな頃から教育熱心な母親に世話を焼かれ、それを深い愛情だと思って受け取り、母の期待に応えようと頑張ってきた。時にはそれを苦しいと思うこともあったが、母の言うとおりにしていると、これまで母だけではなく周りからも褒められる人生を送ることができた。
しかし、母の束縛からそろそろ解放されないと、何百回と出会いを繰り返しても、結婚相手に巡り合うことは難しいだろう。結婚は決断であり、その決断を下すのは、母親ではない、自分自身なのだから。
娘から一切の自信を奪う、「否定型」母親の特徴
では、「否定型」の母親はどうか。こうした母親の娘達は、幼い頃から「どうしてこんな簡単なことができないの」「あなたはいつもお母さんをがっかりさせるわね」「頑張りが足りないんじゃないの?」と否定的な言葉を浴びせられてきた。そうして大きくなった娘は母親を嫌いつつも、なぜかその母親の側から離れることができずにいる。共に歪んだ形で依存し合っているケースが多い。
こうした母親は、娘が年頃になると、「あなたみたいな性格だと、結婚はできないわよ」「あなたみたいな人を男性が好きになるはずがないじゃない」と、結婚相手を探そうとしている娘を頭ごなしに否定する。
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