翌日、私のところにこんなLINEがきた。
「昨日は、頭が真っ白で何も考えられなかったんですが、一晩寝て、つらいけれど、現実を受け入れようと少しずつ思えるようになりました。今回の失敗を次に生かしたいです。考えてみれば、彼女が悪意なくしてきた言動に、僕がいちいち過剰に反応していた。これからは、小さなことが気になってしまうこの性格をうまく改善できるように、自己肯定感を上げていきたいです」
悲しみのどん底にいる晃一に、私は新しい見合いをすることを提案した。
大好きだった相手にフラれた会員に、仲人としてまずするのが、 “恋の上書き”の手助けだ。悲しみの中に何もせずに浸っていたら、悲しみの渦は広がり、それが負のスパイラルとなる。止まらずに動くことが大事。私は、知り合いの仲人に連絡をし、見合いできる相手がいないか探し、まずは見合いを組んだ。
そして、振られてから1週間経った頃、晃一からこんなLINEがきた。
「最初は、ただただ悲しかったのが、今は悲しみの中に怒りも混じってきました。どうして最後の話し合いもしてくれなかったんだろう。やっぱり雑に扱われていたな、と。終わったことをそんなふうに考えるのは生産的でないと思うのですが、それが今の素直な感情です。早く忘れて前に進もうと思います」
このメールを読んで、彼の気持ちの動きが、もう立ち直る方向に向かっていると確信した。それは、“喪の作業”が始まっていたからだ。
1つの恋愛が終わったときにすること
大好きだった相手に振られると、感情は時間とともに変化をしていく。
別れを告げられたばかりのときは、つらくて、苦しくて、胸が痛い。この時期は、どんな別れ方をしたにせよ、相手がいとおしくてたまらない。かかってくるはずのない電話を期待したり、メールがくるんじゃないかとチェックしてしまったりする。
涙をこぼすのもこの時期だ。
しかし、この一定期間が過ぎると、相手に対して怒りを覚えるようになる。
「なんで一方的に振ったんだ」「別れるにしても、せめて最後に話をすることが付き合ってきた者同士の礼儀じゃないか」
実は、この怒りを覚えることが恋愛を終焉させるうえで大事なことだ。
さらにその後、失意失望の時期がきて、後に気持ちがなだらかで平坦になり、1つの恋愛が終焉する。
この一連の感情の流れを、心理学用語で“喪の作業”という。人が亡くなると葬儀をするように、これは恋愛に別れを告げるためのセレモニーだ。
私は、晃一が失意のどん底にいるときに、こんなアドバイスをした。
「“出さない手紙”を書くといいですよ。悲しみも怒りもそこに書き連ねる。そうすると、思いのほかスッキリするんです。ただこの手紙は、絶対に出してはいけないのね」
失意失望の時期に、心の隙間を埋めたくて宗教や占いにハマってしまう人たちもいるが、晃一にはその時期にはどんどんお見合いをして、恋の上書きができる相手を探してほしいと思っている。
晃一にとっても、陽美にとっても、新たな婚活の第2幕が始まる。仲人として、2人の婚活を精一杯応援したい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら