37歳。大手食品メーカーの正社員で、推定年収800万円、理系の大学院卒。細身で短髪、イケメンではないけれど清潔感があり、黒縁のオシャレ眼鏡が似合っている。口数は少ないけれど応答に意思とユーモアが感じられ、趣味はバスケットボールで汗を流すこと――。
そんな未婚男性、30年ほど前ならば「ちょっと年齢が高めだけどぜいたくを言わなければ結婚できる人」、現在では「婚活市場で幅広い層の女性から人気を集める希少な人材」となっている。職業や年収に安定感があり、遊び人すぎない外見もちょうどいい。結婚生活をイメージしやすいスペックなのだ。
もちろん実在の人物である。1年前に結婚したばかりの川原孝二さん(仮名、38歳)。東京・新宿のオフィスビル内にある和食店で軽く飲み交わしながら話を聞いた。
30代半ばまで結婚を意識することはなかった
孝二さんは転勤族で、海外を含めて各地にある工場と開発拠点を転々としている。男性が多い職場で働いていても出会いがなかったわけではないが、恋人とは長続きしなかったと振り返る。
「バスケの練習や友達との飲み会を大事にしてしまうところがよくなかったのだと思います。僕は欲張りなので、彼女がいても土日のうちどちらかは別の用事を入れてしまいます。彼女ができても半年ぐらいで離れていきました」
表情をほとんど変えずに淡々と語る孝二さん。別れてしまったことを後悔はしていない様子。30代半ばまでは結婚を意識することもなく、好きな仕事に打ち込みながら趣味や飲み会も大いに楽しんでいたのだ。
「海外駐在していたときに知り合った商社マンの友人が帰国するたびに大きな飲み会を開いてくれました。街コンにも参加したことがあります。そこで知り合った人から別の飲み会に誘われたりして、いろんな女性と会うことができました」
集団の先頭に立って何かを企画したりまとめたりするタイプではないけれど、付き合いはよくて、リーダーをはじめとする参加メンバーからも好かれやすい人がいる。孝二さんはまさにそういう人物だ。独身者の集まりでは積極的な女性からアプローチされることも多く、やや受動的な孝二さんは「嫌じゃなければ」交際をしたという。どんな女性が好きで、逆に何をされると嫌なのだろうか。
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