「子連れのインタビューでよければぜひお願いします。1歳2カ月の息子は元気すぎるので落ち着かないと思いますが……。メールの返事も遅れがちですみませんでした。この子は目を離すと何をするかわからないし、夕方には上の子どもたちが学校から帰ってくるので夕食などの準備をしなければなりません。寝る前に少しだけ時間があるのですが、遅い時間になってしまうのでスマホで受信しているかもしれない相手にはメールを送りにくいんです」
しきりに恐縮してくれるのは筆者と同じく愛知県三河地方に住んでいる木村由貴さん(仮名、44歳)。約束をした日は比較的暖かくて晴れていたので、三河湾を臨む竹島園地(蒲郡市)のベンチに座り、子どもを遊ばせながら話を聞くことにした。
婚約者と死別した悲しい過去
九州出身の由貴さんは32歳の時に婚約者と死別をした悲しい過去がある。小学校時代の同級生で、持病があって体が弱いのに他人を率先して助けようとする優しい男性だった。
「子どもの頃から仲が良くて、30歳を過ぎてから付き合い始めました。彼と同じように体が弱くてすごく優しいお父さんの影響なのか、自然にレディファーストをしてくれる人でしたね。長生きはできないことはわかっていたけれど、まさか婚約して数カ月後に亡くなってしまうとは思いませんでした。私は家族ではなかったので、最後まで看病することもできずに……」
いちばん好きだった時の突然の別れ。由貴さんはしばらく誰とも恋愛する気にはなれなかった。そもそも地元には独身男性が少なく、県外の4年制大学を卒業している由貴さんは敬遠されてしまう。
「それでも独身同士をくっつけたがる人はどこにでもいるので、出会いはそれなりにありました。でも、私の状況を過去を含めて説明することが面倒だと感じてしまったんです」
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